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週刊デスノーザー【第10話 いつか僕が見せてあげる】ドラマ版「デスノート」全話レビュー&解説連載

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こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。

ついに、いよいよ…。終わりが近づいてきた…。この週刊デスノーザー、毎回8,000字近く書いてるんですけど、これを書くために本放送含めて3回ほど観て、該当の原作部分を読み返して、アニメ版や映画版の設定も振り返りながら推敲していくと、結構な時間がかかるんですね。週1のドラマを何時間もかけて噛み砕いてから飲み込んでいるので、要は、めちゃくちゃ自分の中で思い入れが強くなってきたんですよ。そりゃ毎週書いているようにダメな部分も沢山あるけど、「新しいデスノートを作ろう」という製作陣の気概みたいなものは最初からずっと感じていて、毎週こうやって噛み砕きまくっている者としてはそこが一番嬉しいな、と。その気概がビンビン伝わってくるからこそ、一介のブロガーの分際でも「こっちも真摯に応えるぞ~」と毎週本気でキーボードを連打できる。その“本気の応酬”がすごく楽しい。でも、そんな機会もこれを含めてあと2回。感慨深い…。

そんな週刊デスノーザーですが、来週の更新予定を先に書いておきます。最終回が13日の日曜日、その11話(最終話)のレビューを、できるだけ早い段階で書き上げたいと思ってます。そして間髪入れず、「週刊デスノーザー増刊号」と称してドラマ版全11話の総括感想記事を書きたいな、と。それを持って、この連載企画を終わりにする予定です。毎週読んでいただいている皆様の感想が励みになっています。何卒、最後までお付き合いください…。



週刊デスノーザー【第10話 いつか僕が見せてあげる】


【週刊デスノーザー各話リンク】
目次(総括)創刊号1話2話3話4話5話6話7話8話9話10話・11話(最終話)


【ストーリー】

粧裕(藤原令子)を救うため、総一郎(松重豊)と月(窪田正孝)はデスノートを持って日村(関めぐみ)から指定された場所へ。模木(佐藤二朗)たちもニア(優希美青)の指示のもと、突入に向けて待機することになった。

そして月と総一郎は遂に日村と対峙。月がデスノートを日村に手渡し、その間に総一郎が粧裕を救い出すことになるが、時を同じくして、ニアの身体に異変がおき、キラ対策室から姿を消してしまう。そうして、日村の一味にまんまとデスノートを奪われてしまった月。しかし、月はこの状況を利用してデスノート奪還の作戦を密かに企てていた。粧裕の証言から日村たち一味の一人の正体を知った月は、海砂(佐野ひなこ)と魅上(忍成修吾)に指示して、彼らを追いつめていくことに。

デスノートを奪われ途方に暮れるキラ対策室のメンバーたちだったが、思いもよらない人物から一本の電話が入る。「日村たちのアジトを教える」というその人物を信じていいものか疑うメンバーだが、打つ手がないキラ対策室は、そのヒントをもとに日村の一味を捕らえる作戦に出る。しかし、L(山崎賢人)の死後、月の言動に対して密かに疑問を抱いていた総一郎は、ワタリ(半海一晃)からLの遺した残りのビデオを見せられ驚愕の真実を知ることに…。


【ピックアップ台詞】

「戻ってこい、月」



【トピック1】「粧裕奪還作戦」

今回の10話は、大きく4つのプロットで構成されている。「粧裕奪還作戦」「メロ確保作戦」「日村(リドナー)を操ってのノート奪取」「夜神親子対決」。この4つについて、上からひとつずつ解説とツッコミを入れていきたい。

まず冒頭から開始の「粧裕奪還作戦」について。ここで取り上げなければならないのは、日村章子(ハル・リドナー)のバックボーンだろう。正直、色々と察せられる情報はあったものの、彼女がどういう意思で動いていたかは今回の10話では読み取り辛かった。彼女はニアがメロに豹変し取引現場に突入したのを見ても、驚いた素振りはあまりなかったし、むしろそれが計画の一部だったような笑みさえ浮かべていた。このことから、おそらく彼女は最初からメロの配下にいたものと考えられる。しかしそうなると、そもそものメロとは何なのか、という疑問が沸いてくる。





すでに劇中で描かれた情報から私が感じていたメロは、ニアの中にいるもうひとつの存在として、それは感情が高ぶった際に突如として表に出てくるような、いわば偶発的に表れる人格だと思っていた。しかし事前にリドナーを日村として日本のキラ対策室、そしてLの下に送り込んでいたとするならば、メロはリドナーといつどうやってそのような関係を築いたのか。そして日村は1話から登場していたし、そうなるとメロはかなり早い段階で日本の関東にキラがいると当たりを付けていたことになる。(あくまで首都圏、警視庁がある東京に送り込んでいた、ということかもしれないが)

例えば、ニアは以前にもメロに完全に人格を乗っ取られたことがあり(それも結構な長期間)、その間にメロは原作にもあったような裏社会の犯罪組織を作り上げ、そこでリドナーとすでに組んでいたのかもしれない。キラによる殺人開始とのタイミングは計り知れないが、またニアが人格主導権を逆転して握り、メロは基本的に心の内に引っ込むことになる(この辺りでワイミーズハウスに保護される?)。ニアがキラ事件を調べれば調べるほどメロもそれに詳しくなるので、たまの人格が表面化する機会に、メロは密かにリドナーや他の部下と連絡を取り合い、ノート奪還の機会を窺っていたのかもしれない。もしくは、いつでも乗っ取ろうと思えば乗っ取れたが、あえて機を待っていた、とも考えられる。





そうなるとやはり、「あの体の主人格はニアなのか・メロなのか」という問題が挙がる。本当はメロの方こそ元の人格であり、ニアが後天的に発生した存在という可能性もある。デスノートが二重人格にどう作用するか明確なルールでの言及はないが、素直に考えれば、本来の人格の宿主となる肉体が持つ名前が有効だろう。だから例えば、月が「ニアが本体」と思い込みニアの本名を手に入れノートに書き殺そうとするも、実は「メロが本体」だったためそれは意味がなく、逆に人格復帰した「メロの体のニア」に追い詰められる、という展開もあり得る。二重人格という新しい設定がもしノートとのトリックに関係するとすれば、この辺りのプロットが濃厚ではないだろうか。

話がかなり逸れてしまったが、要は、日村章子ことハル・リドナーとメロの関係(バックボーン)は全く明かされていないに等しく、こうやって妄想に近い考察を書き並べるしかできないのが本音だ。だからこそ、来週仮に前述のような“二重人格だからこそ”のトリックが成立するとすれば、そこでメロの背景が語られる可能性は高いし、同時に日村関連の補完が為されるかもしれない。今回の10話だけ観るとメロと日村の背景がかなり薄いので気になってしまうのだが、一応保留ということにしておく。

そんなこんなで、メロとおそらく事前に結託していたであろうリドナーは、メロの突入もあって現場から無事に離脱、ノートはまんまと奪われてしまう。しかし、先週の時点で「警察には知らせるな」と言われていたのに、相沢も模木もバレバレの裏口から侵入するし、機動隊もかなりあからさまに出てくるし、おいおい…という感じではあった。まあ、総一郎が警察の人間であることは誰よりも日村が分かっているので、そのくらいの人間が動くのは織り込み済みだったのかな。





日村が提案した10カウントに最初は「なんじゃそりゃ」と思ったけど、あの位置関係的に意外と悪くない提案だったな、と。日村はあの時点で動く全ての人間が見渡せる高い位置にいたし、「月が近付く分だけ総一郎も粧裕に近付く」という総一郎の提案において、互いの距離のおよそ何割をどの時点で進むかという共通認識を10カウントで測るのは、演出的な意味も含めて良かったかもしれない。月から日村、総一郎から粧裕という2つのコースにおいておよそ目算で半分の地点は分かるし(特に日村は上から監視できる)、その地点に5カウントで辿り着くようなペースで動けよ、という犯人側の指示としておよそ妥当なものだろう。

メロがニアの人格を乗っ取ったタイミングが偶然か計画的なものかよく分からないし、仮に偶然であるならば日村は踏み込まれてピンチになっていたし、そもそも日村がノートが本物か否かの確認をしないのがダメだし(原作の取引シーンではその場でノートの効力を試した。ドラマ版では直前でLが偽のノートを使っていたので日村は尚更その可能性を考えて然るべきだが、総一郎の性格的にそれはないと判断したという擁護も可能か?)、結局先週のニアの「種蒔き」発言はどう繋がっていくのか不明だし、色々と突っ込みたい点は多い。

ニアの本来の計画が何かあったのだとしたら(例え失敗に終わったとしても)説明されるべきだし、むしろ今回それが無かったのは、来週まで含めて作戦が地続きになっている可能性もあり得る。



【トピック2】「メロ確保作戦」

月がメイソン・フジヤマを利用してメロ一派の潜伏先を突き止めた後に、魅上にキラとして電話をかけさせ対策室メンバーに踏み込ませる。しかし「ノートを取り返す」という名目だったのにも関わらず、日村がそこに不在だったためメロ確保に留まる。(他のゴロツキ共はキラにより心臓麻痺で死亡)

まず気になったのが、メロ以外のゴロツキの顔と名前をどうやって一致させたのか、という点。メロ以外だと、まずメイソン・フジヤマ、そして突入時に死んだ2人、最後に日村ことリドナー。そもそもメイソンのフルネームと顔を月がPCでカタカタってやっただけで発見できたのがご都合主義すぎな気もするけど、まあ、亡きLが有していた「世界中の犯罪者リストにアクセスできる最高峰のPC」だったということにしておこう。多分名前を入れただけですぐ検索して顔写真まで引っ張れるんでしょう。

そして、ミサへの指示でメイソンに仲間の名前を伝えさせ、(この時点で月はメロ突入時等に相手らの顔を見ていたとしても得られた名前と一致させることは不可能なので)、おそらくまた最強PCでググって顔と名前を一致させ、突入に合わせて殺した。この際におそらく「リドナー=日村」だと気付いた月は、ノート保管者であるリドナーだけは別の指示で倉庫に呼び出した、と。(日村がその通りにノート保管役だったのは月の幸運?)





そもそも対策室のど真ん中にある最強PCでメロ繋がりの犯罪者を調べるなんて他のメンバーにはバレなかったのか、とか、検索履歴が残ってるじゃないの?、とか、いきなり登場したあの最強PCというアイテムがかなりの不確定要素を生み出してしまっている。逆に言えば、キラとしてこれほどまでに強力なアイテムは無い。デスノートと最強PCがあれば新世界はグッと近づく。まあ原作の月もL殺害以降は捜査本部とのいたちごっこを見事に演じていたというし、“追う側”と“追われる側”のどちらもコントロールできる最強のポジションという意味では原作二部の月の旨味がこの一連のトリックに凝縮されている、とも言える。

原作では、キラの電話をかけるのはミサだった(といっても、キーボードで電子音声を作成していた)。ドラマ版では魅上だったが、要求内容、捜査本部と協力するロジックの大筋は同じ。原作では死神(リューク)にノートを運ばせて更に目の契約をして確実にノートを取り戻せというニュアンスも含ませていたが、ドラマ版ではオミット。

明確に異なるのは、原作では踏み込む日時まで指定していたこと。これは、キラがあらかじめ名前が分かっているメロ組織の数人を突入に合わせて殺すので、その混乱に乗じてノートを奪還しろ、という意味であった。ドラマ版ではこのキラからの提案がない、にも関わらず、突入に合わせて敵の2人が心臓麻麻痺で死亡した。一見すると月のミスにも思えるが(突入のタイミングと合わせて殺せたのはその日時を知っていた対策室内のメンバーのみだから)、そのご都合性を総一郎が逆に怪しむというプロットになっていたのは興味深い。まあ、相沢や模木がそこに至らないのはアレだけど、月も相当焦っていたのだろう。総一郎は、「突入に合わせて敵が死んだ」→「突入のタイミングを知っていたのは対策室のメンバーのみ」→「キラの提案を積極的に受け入れたのは月」→「やはり月が怪しい?」…という思考パターンを辿ったと思われる。





もっと言うと、実際にノートを奪還できていないのにキラから再度の連絡が無い時点で対策室のメンバーはそろそろ気付くべきなんだけどね。それに、メロが総一郎はじめ対策室メンバーを殺さないのもやはり気になる。あくまで「キラを追う者」が即敵という訳ではないという考え方かもしれないが、ノートが本物か確認するためにも松田あたりを試しに殺しても良かったかもしれない。(いやそりゃドラマ的には良くないけど…)



【トピック3】「日村(リドナー)を操ってのノート奪取」

月は日村ことリドナーを操り、指定の場所にノートを持ってこさせる。演出の都合上リドナーの動きが完全に操られたタイミングで魅上がノートに書くカットが映っていたが、メロ確保の突入時にリドナーがすでにアジトにいなかったことを考えると、もう少し前のタイミングで書いていたとする方が自然か。リドナーが月に銃を向けるのは確かに演出としてハラハラするし意図は分かるが、すでにノートの指示の最中なのだから自重した方が良かったかも。ノート譲渡の指定時刻直前だったからまだ銃口を向けることができた、というのはあるにはあるんだけど。

問題は、これがもしかして本当は操られていない、リドナーが死んでいない可能性も考えなければならないのだけど、その場合は魅上が赤ノートに書いた内容を把握して演技で合わせないといけないし(確認できるならいっそ赤ノート奪還しろよ、という話)、本物のノートを渡すのもどうかと思うし(総一郎が死んだことからあの黒ノートは確実に本物。霊安室の描写から医者の確認も後に入っていると考えるのが自然)、やはり厳しい。まあ、原作における「ハル・リドナー」という女性捜査官はその名が偽名だったので、日村もそのパターンがあるかな、とも思ったが、やはり状況的にハルが本名で死んだと見て良いだろう。





更に問題なのがその後のメロの目の前での自爆行為だ。月のノートの指示は「最大限遺体が発見されない方法の自殺」であり、仮にルールが原作通りだとすると、「名前を書かれた人間以外の死を直接的に招くような死に方をさせる事はできない」という条件も付与される。(これまでの描写から見るにノートのルールは基本原作通りだと思われる)

さて、メロの目の前で爆死する方法は、“第三者の死を直接招かず最大限遺体が発見されない自殺方法”として成立するだろうか。ノートが「ま、この程度の爆弾じゃメロへの“直接の”死因には当たらないでしょ。だからOK」と判断したともギリギリ取れるが、あそこまで窓の外に炎が吹き出る自殺方法が「最大限遺体が発見されない方法」に該当するというのはやはり厳しい。どれだけ人里離れているのだろうか。粉微塵に吹き飛ぶから「遺体が発見されない」という言葉遊びだとしても、その爆発規模ならメロは死んでしまうだろう。

「(1)仮定が間違っている。つまり原作と違いドラマ版のノートは第三者を巻き込んで殺すことが出来る」「(2)リドナーは偽名で、爆死に見せかけてメロと一緒に逃亡している」等の可能性も0ではないが、ぶっちゃけて言うと、「演出優先でやっているので単純な整合性の不一致」という線が一番濃厚なんじゃないのかな、これ…。うーん。



【トピック4】「夜神親子対決」

…という感じで散々書いてきたように奪還作戦も突入作戦も正直細かい粗が気になって仕方が無かった10話だが、それでも観終えた後の満足度が高かったのは、親子対決が魅力的だったからに他ならない。総一郎がなぜ月と日村が落ち合う日時を把握できたのか疑問は残るが、まあ、息子の行動を見張っていたということにしておこう…。

「お前は誰だ? いつからそんな平気な顔で嘘をつけるようになったんだ? お前の心はどこにあるんだ? どれが本当のお前なんだ?」。総一郎の畳み掛けるような詰問。「堕ちていく月が魅力的」とは毎度うるさいくらいに書いているが、そのドラマの旨味が今回もたっぷり溢れ出ていた。これは原作通りの天才型月だったら絶対に出来ないプロットだし、窪田くんの演技力がそのオリジナルの強みを最大限に活かしている。

親父の詰問に対して、顔を強張らせて否定するのでも睨むのでもなく、表情が迷子になったように笑ってしまう辺りなんて、本当にすごい。「デスノートじゃないよ?」という苦しすぎる言い訳が陳腐すぎて滑稽すぎて、月の悲哀っぷりが殊更に強調されていく。おそらくこの時の月の頭は親父にバレたことで一時的にショートしていたし、その混乱を「壊れた笑顔」で表現する窪田くんはやはり流石だな、と。





「お前の嘘に、苦しみに、気づいてやっていたら」。親の責任を感じる総一郎。そして、もはや言い逃れのできる段階ではないことに段々と気付いていく月。「目指す所は一緒なんだよ!」という涙の訴えも、総一郎の確固たる覚悟の前には届かない。仕方なくキラとしての一歩を踏み出してしまった月は、「自分は正義のために人殺しになった」という自己肯定なくしては自分を保てなくなっていたのだろう。「正義のため」という言い訳を自らに言い聞かせ、キラという別人格になすり付け、その人格が融合してからも激昂するとブレ始め…。Lも分かってくれない、総一郎も分かってくれない、でも、“もう間違っていたなんて答えには辿り着けるはずもない”。

総一郎は、本当に親としての責任を取りたかったら「夜神総一郎 手に持っているノートを燃やし跡形もなく処分した後に心臓麻痺」とでも書けば良かったのだけど、月の前でそんな悠長なことはできないし、そもそも「ノートを燃やしたら触れた者が死ぬ」というルールは月がリュークに書かせた嘘ルールなのだから燃やしたとしても月は死なない訳だ。親としての責任を取り名前を書き、ノートを燃やして親子共々死のうとした。最後まで嘘ルールを信じて行動しているのが、非常に皮肉な話である。

まあ、今回のように月が燃やすのを止める可能性も十分にあったので、総一郎的の認識的には「わざわざ名前は書かず自分も触れたノートだけを確実に燃やす」が模範解答だったのだけど、息子の良心への訴えと説得、あくまで自首の希望を考えてのことだろう。2人とも極限状態だし、この辺は許容範囲かな。





とにかく、月と総一郎、窪田正孝と松重豊の火花散る熱演が本当に見応え抜群だった。総一郎が死んでからも、意地でもデスノートを離そうとしない総一郎に、父の死体よりノートにかかったオイルを気にして必死に拭う月など、観ているこっちが「おいおいおい…」と顔を引き攣らせてしまう演出の連続。更には「父さんの死で目が覚めたよ」とまで言ってしまうし、もう本当に“戻れない”んだなあ、と。さて、これが来週どうなるのか…。



【今週のここが良かった!】

今週の良かった点・悪かった点は前述までの各トピックであらかた語ってしまったので、今回はさくっといきます。

まず、交渉場所に来た父と兄に「ごめんなさい、私のせいで」と開口一番で謝る粧裕。なんて出来た娘なんだ…。一方の兄は、日村の威嚇射撃に対し「的確な狙撃、あの女本当に何者だ?」と睨みを効かせていた。余念がないな。覚醒したメロがニアの声色や表情まで扱えるのが結構な恐怖演出としてよくハマっているし、何より、メロ覚醒時に流れたBGMはおそらく序盤でよく流れたLのテーマのアレンジだと思うので、そこで結構興奮してしまった。

「銃を床に置いてくれ!」というかなり強気な総一郎の立ち回りには思わずグッとくるし、その後も捜査にやけに積極的な息子を不審に思う演技が素晴らしい。松重豊の眉間のシワの動きはもはや国宝級。そんな目で見られているとも知らない当の息子は、着々とキラとしての行動を開始する。対策室を出ていく際に下からのライティングで悪魔スマイルをやっているのは良いカットだった。他のキラたちも今回は地味に活躍していて、谷間にノートを仕込みつつ最高に従順なミサや、まとめサイトを見ながら裁きを行う魅上など、キラ一派の一糸乱れぬ連携模様は観ていて面白い。首領・夜神月は心の声で「 だ ま っ て 聞 い て ろ 」と松田に食ってかかるなど、相変わらず窪田くんの熱演が光る。





さて、今回の肝である総一郎に見せられたLからのビデオレター。Lにとって総一郎は父親のような人間であったし、叱ってくれ、感情を教えてくれた相手でもある。そう思うと結構感慨深いメッセージではあった。

問題は「今起きていることは、すべて私の計画通りなんです」発言。これはどこまでを指しているのか。メロがニアを乗っ取ってリドナーとノートを強奪することまでもLの何らかの計画のうちなのか? でもメロは「Lが嫌いだった」と度々公言しているし、生前の彼から何か計画を託されていたとは考えにくい…。この辺りは来週まで保留かな。ちなみに、公式サイトでこのLのビデオメッセージのフルバージョンが公開されているので、こちらも要チェック(とはいえ、ヒントやキーワードは多いが明確な判断は何もできない内容…)。この思わせぶりな内容はやはり“命と言う意味では”Lは死んでいるということかなあ。


ドラマ版デスノート、LのVTRフル版がHPで先行公開。「僕も参戦する」「最後にキラを追いつめ、勝つのは、僕だ」。Lが仕掛けた計画、「監視と偽造」とは一体...。 http://t.co/Nt7YITFbsa pic.twitter.com/vmd16w4ATC

— YU@K (@slinky_dog_s11) 2015, 9月 7


【今週のここがダメだった!】

正直この時点でダメ出しはかなりの量を書いてきたので、あまり書くことはないかも…。メロの着替えが早すぎるし、やはり髪型が見事に変わっちゃうのは少し笑ってしまう。そしてメロの勾留からの脱走もなあ、うん、ちょっと迂闊すぎるでしょう、警察組織。仮にもキラ事件関連の最新容疑者なんだから、もっと厳重に警備してくださいよ。せめてリドナーが脱走を手引きした描写等があれば…とも思ったけど、タイミング的にすでにノートを持って月の指示の下ということか。リドナー(日村)なら警察内部のことも知っているし、メロが脱走できるひとつ理由付けとして申し分なかったんだけどね。







そして夜神親子の迫真のドラマに関する演出の都合なのは分かるけど、レムが全く出てこないのはやはり気になってしまう。「ノートに触った者の前に必ず姿を現さなければならない」という訳ではないのだけど(総一郎に所有権が移った訳ではないので)、やはり総一郎の目の前にレムが現れないのは不自然だし、もっと言うとリドナーや彼女と合流したメロの前でも出てきた様子が無いのはいただけない。

今回の10話は度々書いているように夜神親子対決以外のシーンで細かいツッコミ所が多すぎて、その多くが演出に引っ張られていることによる単なる「おざなり」で落ち着いてしまいそうなので、そういう意味ではかなり不安が残った。描かれていない面は来週明かされる可能性も大いにあるが、今週だけ観れば宙ぶらりんの要素が多い。

何より、「Lは何を計画していたのか」「ニアは何の種を蒔いていたのか」「メロはいつからどうやって暗躍していたのか」の全てが説明されていないので、起きるイベントの輪郭が全然掴めないのだ。ふんわりとしてしまっている。これが単なる説明不足で終わってしまうのか、来週しっかり受け止めてくれるのかは分からないが、このうちひとつくらいは今週の時点でクリアして欲しかった。(Lの計画は最後の隠し玉だろうから、せめてメロのバックボーンだけでも…)



【来週の見所は?】

先週散々考察した「Lの生死」だが、個人的にはLが生きているパターンが観てみたいと思いつつ、10話から受ける印象と例のビデオレターを観るに、「何らかの作戦的な意味ではその意思が受け継がれているけれど肉体としては死亡している」という真相が濃厚と思われる。「最後のピースをはめる」のはニア、そして原作では「Lがキラの存在と殺しの方法を明らかにしニアが追い詰めその計画の漏れをメロが偶発的にカバーし結果的に三位一体でキラを倒した」という作劇だったので、それに近いロジックで決着というのが順当な感じではある。

キラを追い詰める計画は生前のLが仕組んだもので、ニアがビデオレター経由でそれを引き継いでいた。しかし、メロが人格を乗っ取ったことで状況が迷子になる。前述の二重人格のトリックかそれに近い形で「メロが状況を迷子にしたからこそ、彼がいたからこそニアが“一手”を得られた」という形で、やはり最終的にはニアが月を倒す。こんな感じかな。原作の月はかなり惨めに抵抗し銃弾を浴び、最終的にはリュークに名前を書かれて死亡する。ドラマ版はやけに【新たなる結末】を煽っているので、例えば逆に月がリュークに名前を書くよう懇願するとか、そういうアレンジは加えてくるかな、と。





何にせよ、最後に窪田版月が自身の良心とどう向き合うか。友であるL、父である総一郎を殺してしまった平凡な大学生は、一体どこに辿り着くのか。惨めに負けて後悔し狂うならそれはそれで、引き返せないプライドを貫き通してそこに殉じるのであればそれはそれで、仮にシナリオがどう転ぼうとも、窪田正孝の歴史に残る名演の1ページが刻まれるのは確実だろう。次回、ドラマ版デスノート、未曾有のクライマックスへ!


【今週のスコア】
85点


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【週刊デスノーザー各話リンク】
目次(総括)創刊号1話2話3話4話5話6話7話8話9話10話・11話(最終話)


「デスノート」最終話予告動画



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