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Channel: YU@Kの不定期村
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「キスマイBUSAIKU!?」にみるKis-My-Ft2の身分秩序と階級社会

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こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。

嫁さんに付き合ってここ数ヶ月毎週観ている番組がある。月曜の23時から放送中の「キスマイBUSAIKU!?」というバラエティ番組だ(通称「キスブサ」)。これがまた非常に面白い。現代の新たな身分闘争だ。タイトル通りジャニーズの若手ユニットKis-My-Ft2の看板番組なのだが、総勢7人のキスマイのメンバーが「もし女性とこんなシチュエーションだったら?」というお題を受けて、それぞれ「これがカッコイイ!」と思う対応を寸劇で披露する。その数分の映像をモニターの女性たちに見せて、カッコイイかブサイクかを投票し順位で発表する、という趣旨だ。

つまり、ジャニーズの7人があの手この手の方法でイケメンな仕草を模索するのだが、必ず「マジで大丈夫かよお前…」というブサイクっぷりを発揮してしまうメンバーがいたり、男の私でも「おいおいコイツやべぇな…」と震えてしまうくらいカッコイイ所作を繰り出すメンバーも出てくる。お題は「彼女に着て欲しい水着を一緒に選ぶ」「スポッチャでの楽しいデートエスコート」「カラオケで元カノに再告白」「今カノとデート中に元カノと偶然再会した時の対応」など、様々。水着やデートエスコートなどは「なにを選ぶか」も審査基準であり、ダイレクトにそのメンバーのセンスが問われたりもする。

またこの番組の特徴として、7人のランキングを3+4の構成で発表していく。上位3人が「カッコイイ」、下位4人が「ブサイク」という区分だ。最初に3位が発表され、次に2位、続いて4位~6位のVTRが立て続けに流される。最後に1位か7位かの天下分けめの発表が行われ、誰がカッコよくてブサイクなのかギリギリまで分からない構成となっている。また、バラエティ番組でよく萎える焦らしパターンは無く、非常にテンポ良く順位が発表されていく。30分番組ならでらのストレスフリーさが魅力だ。





さて、そのカッコイイとブサイクなのだが、寸劇VTRが発表される際にその順位をつけた女性モニターたちのコメントが流れるのも特徴的だ。まるでニコニコ動画のコメントやTwitterの実況のように、女性たちの生の声がリアルタイムで画面上に散らばる。上位3人の「カッコイイ」時は「キュンキュンくる」「やばい」「惚れる!」と絶賛コメントが流れるが、4位以下はかなり辛辣に「は?」「意味不明」「キモい」などのコメントが並ぶ。男の私からすれば「何様だよ…」と言いたくなるくらい上から目線のコメントばかりだが、天下のジャニーズのメンバーがコメントでボッコボコにされていく様は謎の高揚感がある。

この番組を通して知ったことだが、Kis-My-Ft2には明確な身分秩序がある。嫁さんに色々と説明されたが、つまりキスマイの7人は基本的に3+4。ぶっちゃけて顔がイケメンの「北山」「藤ヶ谷」「玉森」がメインの3人であり、残りの「千賀」「宮田」「横尾」「二階堂」は歌においてもソロパートは無くバックダンサーのような扱いとなっている。実際にカラオケで彼らのPVを見たことがあるが、面白いくらいに後ろの4人は顔が映らない。ひたすらに前の3人がカメラに向かってイケメンな視線を飛ばすのだが、後ろの4人は黙々とバックダンスに興じている。この明確な身分秩序がアリとされているのがKis-My-Ft2なのだ。なんという階級社会。EXILEのダンサーの方がまだ顔が映るんじゃないかというレベルである。

後ろの4人は、確かに前の3人に比べで顔面偏差値は低いのかもしれないが、一般人からするとまあまあのイケメン(もちろんジャニーズなので)。しかしこの境遇を見かねた事務所の先輩SMAP中居くんが彼らを「舞祭組(ぶさいく)」としてユニット化し、ちょっとお笑いも含めた特異なポジションをゲットしているのが現状である。

このメンバー間の絶妙な身分秩序が「キスマイBUSAIKU!?」を相当面白くしているのだが、その結論に入る前にメンバー7人の私から見た印象を簡単に説明したい。なお、最新の2015年10月12日放送のテーマ「ハンバーガー屋さんでバイト中にいかに周囲にバレずに一緒に働く彼女をドキドキさせるか」の順位通りに各々の寸劇を合わせて紹介する。


※※※



・玉森裕太(所属:イケメン)
イケメンながら実は精神はブサイク組のメンバーに近い。運動神経が悪くその辺りのパフォーマンスを求められると激しく順位を落とす。しかしその中性的な顔立ちと常に優しく紳士的な立ち振る舞いは、女性モニターから圧倒的な支持を集めている。今回のテーマへの回答は「具材を取るふりしてスキンシップしながら業務用冷蔵庫の大きな扉で死角を作り壁ドンキス」(1位)。



・藤ヶ谷太輔(所属:イケメン)
メンバーいちのイケメンとも言える彼はそのSっ気のある顔立ちをフル活用させてくる。強気な物言いと優しい対応のギャップを狙って発動させてくる計画性の高い男。平均順位も高く、ブサイクに落ちることはほとんど無い。ごくたまにSと勘違いを履き違え女性に強く当たりすぎてモニターからドン引きされる。今回のテーマへの回答は「こっそりバレない位置で手を握り会話をした後に店長に申し出てバイト上がりの時間を彼女に合わせ、キッチンの死角で不意打ちのキス」(2位)。



・北山宏光(所属:イケメン)
キスマイいちのチャラ男。キング・オブ・チャラ。喋り方や身のこなしなど、もう全ての所作がチャラい。毎週VTRが始まって3秒で「あ、チャラい」と分かる。しかしだからこそ(?)女性に対するエスコートはバラエティ豊富で、毎回上手くツボを押さえてくる。たまに設定や準備に凝りすぎるのが玉に瑕。今回のテーマへの回答は「落ちた小銭を拾いつつ簡単なゲームをして勝たせた彼女に夜ご飯を作りに行く約束をして頭ポンポン」(3位)。



・千賀健永(所属:ブサイク)
非常に誠実な男だが往々にしてスベる。毎回イケメンたちに食い込もうと奮闘しているだけあって、ブサイクメンバーの中でも平均順位は高め。割と高い頻度でイケメンを食って上位に躍り出るブサイク界のホープ。今回のテーマへの回答は「彼女にまかないを作る役を買って出てポテトで漢字の『下』を作る。そのメッセージ通りペーパーの下に『バイト中にキスしてもいいですか?』の仕込み手紙」(4位)。



・横尾渉(所属:ブサイク)
いつもオラオラ系を履き違えているブサイクエース。自分のペースと寸劇計画を貫くのに必死で、相手役の女性が毎週のように苦笑いしている。本人は可愛げがあると思っている変顔が絶妙に可愛くない。しかしそのブレないストレートさはたまに確変を起こす。今回のテーマへの回答は「バイト中にやたら彼女に馴れ馴れしく絡み、キスすると見せかけてそれをせずにドヤる」(5位)。



・宮田俊哉(所属:ブサイク)
ラブライバーを自称するそのオタクぶりが行動の全てに滲み出る。平均順位はかなり低いが、常に相手役の女性を楽しませることに全力であり、自らがピエロになることを厭わない。その献身ぶりでたまにひょいと1位を取ったりもする。個人的に一番一緒に飲みに行きたいメンバー。今回のテーマへの回答は「ポテトの塩加減を味見させる名目で彼女とキッチンの下でポッキーゲーム」(6位)。



・二階堂高嗣(所属:ブサイク)
キング・オブ・勘違い野郎。自分がブサイクだと心の底で絶対に認めていないそのネバギバ精神がいつも空回りな結果を呼ぶ。本人はかっこいいと思ってやる言動が一般人からしたらストーカーや変質者のそれという場面がしばしば。だからこそいつも応援したくなる。今回のテーマへの回答は「ホールで片付け中に客にバレバレの位置で不意打ちのキスをしかけ、キッチンでもちょっかいを出し続けた後に一方的に『好きだよ』と言ってくる」(7位)。


※※※


このような多種多様なメンバーが凌ぎを削るのが「キスマイBUSAIKU!?」なのだが、重要なのは何度も書いている「3+4」の構図だ。つまり、そもそもメンバーがソロパートの有無等で「3+4」に分かれており、そこに番組の区分けとして「3+4」でカッコイイとブサイクに振り分けられる。要は、順当にいけばカッコイイの3枠はイケメンである「北山」「藤ヶ谷」「玉森」らが占めること間違いなしという前提が、この番組を面白くしているのだ。仮に似たような対応をしてもイケメンとブサイクでは評価が分かれるという哀しい現実。だからこそ、ブサイクの4人は圧倒的なハンデを背負って毎回テーマに挑んでおり、そこをアイデアと誠実さで覆した時のドラマが盛り上がるのだ。

そう、まさに下剋上…!斬って斬られての戦いが「キスマイBUSAIKU!?」にはあるのだ。




▲時代はさながら戦国…!


上位2人が最初に発表された時点で、そこにブサイクの誰かが食い込めば、自動的にイケメンの誰かが下位ゾーンに転落したことを意味する。そこで「ざまああぁぁぁ!!」と喜びながら勝ち上がったブサイクを応援する。イケメンがイケメンだからこその勘違いに陥り下位に落ちると、謎の高揚感が私を包む。特にキング・オブ・チャラの北山が下位になった時の展開は非常に面白い。チャラ男が勘違い言動で滑り倒してくれるからだ。そして、オタクな宮田などが上位に上がった時の「人間は顔じゃねぇ!」という正論が勝ったかのような爽快感。この独特の勝利シークエンスとカタルシスは「キスマイBUSAIKU!?」ならではである。

とはいえ誤解がないように書いておくが、この番組はダメだった人もちゃんとイジって笑ってあげる番組として雰囲気が成立しており、女性ファンとしてもお気に入りのメンバーが勝てば「カッコイイ」、負ければ「そんな一面も可愛い」、というどう結果が出ても好転していく構成になっている。だからこそ、安心してジャニーズメンバーのIF言動を楽しむバラエティとして洗練されており、男性の私が見ても楽しめるものとなっているのだ。

「キスマイBUSAIKU!?」、そんな男たちの恥ずかしい凌ぎの削り合いが面白いので、ぜひ男性の方にも観ていただきたいと思う。下剋上が起きる瞬間を目撃せよ。


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