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Channel: YU@Kの不定期村
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「ルパン三世(2015新シリーズ)」が満たす3つの要件、その腰が抜ける面白さを語る

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こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。

元々アニメはそう本数を観る方ではないのだけど、今期(2015秋)はずっと楽しみにしていた作品があった。そう、メインタイトルとしては実に30年ぶりの新シリーズ、「ルパン三世」。お馴染みのルパンたちが活躍するTVシリーズだけど、私は年齢的に完全に再放送組。夕方にやっていた再放送を毎回TVの前に正座して観ていた遠い記憶がある。だから、リアルタイムで観ていたのは年に1回の金曜ロードショースペシャル版。「ファーストコンタクト」に思い入れが強い世代、といえばおよそイメージが沸くだろうか。

近年で挙げれば「VS名探偵コナン」の劇場版含む2作はもちろん観たし、実写版も公開日に観に行った(これについては語ると長くなるので割愛)。という感じで、決して詳しくはないしルパンフリークでもないけど、人並みにシリーズのファンだと自負している。そんな自分が初めてリアルタイムでルパンのTVシリーズを追える!それだけで感動モノなのだが、これがまたぶっ飛ぶほど面白い(これを書いている時点で6話まで放送済み)。「こんなモノが毎週観られていいのか?本当にいいのか?」とTVの前で小躍りしちゃうくらいに面白い。





※以下、6話までの内容込みでひたすらに「ルパンの新TVシリーズめちゃくちゃ面白いんですけど!」を語るので、ネタバレにご注意。


原作や初期のTVシリーズには前述のとおりあまり詳しくはないのだけど、私が個人的に基準にしている「ルパンの面白さ」には、3つの要件があると思っている。


1.捻りの効いたトリッキーなシナリオ

これはもう代名詞だとは思うが、要はルパンは盗賊稼業な訳で、騙し騙されの化かし合いがストーリーのメインになることが多い。それはお宝を盗むための駆け引きに留まらず、観ている視聴者を騙し欺くことも含まれる。登場人物たちの秘めたる目的が判明したり、ルパンの巧妙な計画が炸裂する瞬間、変装による逆転劇に、裏の裏の裏の読み合い。そういう駆け引きが「ルパン三世」の魅力であり、観ている側も気持ちよく化かされることを望んでいる。

例えば新シリーズ6話「満月が過ぎるまで」は王道中の王道で、田中敦子演じる未亡人エレナ・ゴッティが隠し財産の存在を知っているか否か、最後まで見事に焦らしてくれる。そりゃ、ベタな悪女展開で最後の最後に「ふふふ」とお宝の前で微笑む姿は想像に難くないのだけど(実際にそうだった)、そこに持って行くまでのシナリオの練り込みと観せ方、これらが非常に丁寧で面白かった。ルパンが銭形の意図を察して財産を盗んだ振りをする、そういう「ちょっといい話」で終わると見せかけてもうひと捻り。このバランスが「ああ、ルパン観てるなぁ…」と感動させてくれる。

また、単純なハッピーエンドにも、バッドエンドにもならず、ビター、もしくはメリーバッドエンドに落ち着くパターンが多いのも特徴。






2.ルパン一味のレイヤーの高い会話

ルパンも、次元も五右ェ門も不二子も、その筋のプロである。だからこそ、交わされる会話も“いかにも”で“それっぽい”。特に専門用語が飛び交う訳でも、何か難しい話をしている訳でもないのだけど、互いの実力と性格を完璧に把握した上での“分かってる奴”同士の会話はやはり観ていてニヤニヤしてしまう。「ルパンはこういう奴」「不二子はああいう奴」「次元はここまで出来る奴」、互いのスキルが共通認識になっているからこその、一段上のレイヤーで飛び交う会話と細かな牽制。職人同士のやり取りと勘の読み合いに痺れるのだ。

彼らの何気ない会話が後の展開でダブルミーニングになっていたり、そういう要素の蒔き方、回収の仕方がこの新シリーズでもいちいち小気味よい。彼らに言わせれば「寄り道」は「歯痛を治めるために立ち寄った街でのひと騒動と死線くぐり」だし、それ以上深くは聞いてこないルパンと答えない次元で雰囲気が“できあがっている”のがたまらないのだ(4話「我が手に拳銃を」)。プロ同士の何気ない会話、彼らにはさり気ないやり取りが、我々一般人にとってはパズルのひとつになる。このニュアンスを味わってこその「ルパン三世」ではないだろうか。






3.お洒落でスタイリッシュなドヤ展開

結局「ルパン三世」に何を求めているかといったら、ルパン一味の活躍だ。それも、“わかってる感”満載の彼らが、演出と音楽の上でスタイリッシュに「ドヤァァアアア!」と活躍する。要はこれが観たくて「ルパン」を観ているようなものだ。

今回の新シリーズは各話のストーリーも良いのだけど、最終的にしっかりルパン一味のドヤに帰結するから面白い(まだ序盤なのでキャラ紹介の面が強いのもあるだろうけど)。3話「生存率0,2%」では絶対不可能と思われた相手からの逃走劇&逆転劇を鮮やかに決めるルパンが最高だったし(ここでルパンのドヤ顔)、4話「我が手に拳銃を」では囲み放たれる銃撃を丸腰でさばき切る次元のハイスペックっぷりがこの上なくクールで(ここで次元のドヤニコチン)、5話「魔法使いの左手」ではマジシャン青年の人生を救ったとも取れる不二子の行動がとにかく魅力的だし(ここで不二子のドヤオートバイ)、6話「満月が過ぎるまで」では銭形がクサい台詞をこの上なくかっこよく言い放ってくれる(ここで銭形のドヤ立ち去り)。

キメッキメの演出でいつものメンバーが盛大にドヤる。でもそこにわざとらしさはなく、「き、決まったぁぁ~~」と純粋に痺れる。そういう塩梅に見事に仕上がっているのが最高なのだ。いや、むしろ少しわざとらしいくらいがちょうど良いのかもしれない。あり得ないくらいに崩れない作画の中でヌルヌル動くルパンたちがドヤ仕草を決める。これで面白くないはずがないのだ。







まとめると、「捻りの効いたトリッキーなシナリオ」の上で「ルパン一味のレイヤーの高い会話」が繰り広げられ、毎回「お洒落でスタイリッシュなドヤ展開」で締める。さ…最高じゃあないか…。なんてこったい…。もうこれを書いていて早く次の話が観たくてワクワクしてきた。また、前述の通り作画が非ッッ常に良好であり、例えば「PS3新作ゲームのプロモ映像を観たらすごいグラだったけどプレイ画面は実際そんなことないんだろ?…と油断していたらそのグラのままヌルヌル動いてるぞやべぇ!」的な感動を味わえる。なぜこんなクオリティが毎週ペースで放送されているのだ…。驚きである。

また、2011年のキャスト交代後初のメインシリーズとなるが、山寺宏一の銭形や沢城みゆきの不二子など、非常に脂の乗った演技を披露してくれる。もはや言わずもがなだけど山ちゃんって本当にすごいよね。分かってはいたけど、彼の演技は新たに聴くたびに「うわっ…やべぇ…」ってなる。前任者・納谷悟朗の銭形をこの上なく継承して、新たな旨味すらプラスされている感じ。声優陣の名演技合戦も大きな見所になっている。





要は「ルパンの新TVシリーズめちゃくちゃ面白いんですけど!」というだけの話なんだけど、この面白さを誰かと分かち合いたくて徒然と書き置いた。2クール放送予定とのことで、あと18話くらいこれが観られると思うとワクワクが止まらない。新キャラでルパンの妻であるレベッカ・ロッセリーニ、MI6のエージェントであるニクスなど、今後が楽しみな奴らがどう絡んでくるかも大きな見所。このクオリティが2クールずっと続いたら大変なことになりそうな気がするが、ぜひ大変なことになっていただくことを心から願っている。


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