こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。
「オタク」を最も満喫できる期間は、果たしてライフステージのどこに相当するだろうか。そもそも、この場合の“満喫”という言葉の定義から始めなければならない。例えば私の場合、特撮・映画・漫画がオタクカテゴリーの上から3つだ。特撮と映画は時に重なる部分も多いけれど、できれば最低でも週一ペースで映画館には通いたいし、当然のように劇中に出てくる怪獣やヒーローやメカのフィギュアも欲しくなる。映像ソフトは言わずもがなだ。漫画の場合、連載で追っかけている作品は死ぬほどあるので、実を言うとその全ての単行本を定期的に買っていきたい。ふるいにかけたとしても、どんなに頑張っても月に10冊は新たに本棚に並べたいものだ。
そして、独身の頃は前述のような生活をしていた。試しにざっくりと計算してみよう。月に映画を4本観たとして、1,800×5=9,000円。フィギュアを2体買ったとして、1万円。映像ソフトで月に2万。漫画を10冊買ったら450×10=4,500円。合計で、43,500円。以前の私の収入であれば、これが「趣味費」としての限度に近かった。家賃と食費と光熱費と貯金と、全てを差し引いて手元に残ったこの数万円をいかにやり繰りするか。それがオタクとしての楽しみ方だった。
そこで本題だが、今の私の「趣味費」は、0だ。0なんだなこれが。悔しいから何度でも書いてみるけど、0円なんですね。0ですよ、0。約43,500が0になったんです。なぜかと言うと、それは結婚をしたから。そして話し合った結果、家計の管理を基本的に嫁さんにお願いしているから。お小遣い制も検討されたけど、将来の子供や人生設計を考えた結果、「欲しい物がある度に逐次申請する」という制度が確立(されて)し(まっ)た。
例えば、欲しい漫画があるとする。『僕のヒーローアカデミア』の6巻。こういう時は、嫁さんにお伺いを立てる。「あの、『僕のヒーローアカデミア』の6巻が欲しいんですけど…」。すると大抵、「えっ? 僕の~~何?は?」と返される。辛いんだなまたコレが。私は一生懸命説明する。「週刊少年ジャンプで連載中の漫画で、『逢魔ヶ刻動物園』時代からファンの堀越先生の最新作なんだけど、ヒーローが当たり前に活躍する社会を舞台に“個性”を持たない主人公が自身の理想を目指して奮闘する様を描いた~~」。…こういう時にプレゼンに絶対に必要ない情報を雪崩のように語ってしまうのがオタクとしての悪い癖なのだけど、数分後に嫁さんは必ずと言っていいほどにこのフレーズを発する。
「それ、今、必要なの?」
ひょぇええぇぇぇぇぇぇ~~~(ズンドコズンドコズンドコ!!) そ、そ、それを言っちゃあおしまいよォ!!
そりゃお前モノによっては初回限定特典とか入場者プレゼントとか“今”しかないパターンもあるけれど、例えば漫画のコミックスなんてそう簡単に市場から消えはしないし、映画のソフトなんてむしろ日を置いて待っていた方が後にBOXで安くなったりはしたりするけどさ!するけどさ!するけども!でも“そう”じゃなくて!
お察しのとおり、嫁さんはオタク趣味が皆無だ。唯一挙げるなら、スマホで月額配信サービスに契約した韓ドラを観るくらい。ごく稀に女性ファッション誌を買うくらい。それだけ。だから、毎週のように映画館に通う人間も、月に漫画を何冊も買う人間も、彼女からしたら異星人のような存在。だからこそ、オタクならではの「消費感覚」が根本的に備わっていないし、そしてそれを説明するのはこの上なく難しいことなのだ。
オタクにとって(一般的に)“今”必要なモノなんてごく少数しかない!しかし、オタクにとって(オタク的に)“今”必要なのがそれなのだ!自身の流行り、ネットでの流行り、そういったものが先行し、挙げ句には「買って手元に置いておくこと」が半ば目的化する。本末転倒なのに、そうやって消費のサイクルを繰り返していくのが哀しきオタクの日常なのだ。
かといって現状を嘆いてばかりでは仕方ないし、結婚を後悔したことも一度もない。家計を支配する我が家の大蔵大臣(※嫁さん)を前に、既婚オタク野郎がどう立ち向かいライフラインを維持しているのか。その貴重なノウハウと奮闘録を、ここに記しておきたい。
■完全版は2015年12月末発売予定の電子書籍『THE BEST』(0円)に収録予定。詳しい内容や進捗状況はこちら。
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