
こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。
いつも「仮面ライダーゴースト」TVシリーズの感想をまとめている「週刊ライダー時評ゴーストウォッチメン」。今回は特別編ということで、毎年恒例の冬のMOVIE大戦シリーズ最新作「仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス」の感想。前半はいつもどおり観た直後のTwitterでの感想を貼り付けたもので、細かい内容への言及やネタバレに配慮済み。後半からはネタバレ込みでガッツリと語ってます。内容だけでなく、色んな感情もガッツリ語っちゃったというか…うん…その…うん…。
■ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス
「仮面ライダー」シリーズの最新作とその前作がクロスオーバーする「MOVIE大戦」の第7弾。
平成ライダー18作目として2015年10月から放送を開始した「仮面ライダーゴースト」と、その前作で、自動車に乗る設定が話題を呼んだ「仮面ライダードライブ」が共演する。共通の敵・眼魔を追う中で出会った仮面ライダーゴーストとドライブは、突如巻き起こった時空の歪みにより、10年前の世界へ飛ばされてしまう。そこには進ノ介(ドライブ)と知り合う前のベルトさんや、眼魔に殺される前のタケル(ゴースト)の父の姿があった。
タケルは過去の世界で父を救おうと決意するが、それは眼魔の手によって復活した世紀の天才レオナルド・ダ・ヴィンチの仕かけた罠だった。
監督:金田治
脚本:林誠人
【目次】:【9話】<【超MOVIE大戦ジェネシス】>【10話】
[仮面ライダー]「ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス」 時を巧みに使った展開 https://t.co/Ge8ZmXcVPr
— 【公式】マイナビニュース 新着記事 (@mn_all) 2015, 12月 11「ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス」鑑賞。シリーズ初の分割なし1部構成のコラボ劇はボリューム感があり良かったが、痒い所に手の届かないシナリオとバランス配分の悪さと金田監督のもさもさっとした絵作りでなんとも「まあまあ」な出来。ドライブ組はこれがラストになるのか...。
— YU@K (@slinky_dog_s11) 2015, 12月 12「MOVIE大戦ジェネシス」、本編の細かい設定や美味しい部分において拾うところと蔑ろにするところのバランスが妙に歪で、「え?そこはそんなあっさりやっちゃうの?」「物足りなすぎる...」「そこは拾うのに!?」「うぅうんんん?」みたいなリアクションが多発するタイプの映画だった...。
— YU@K (@slinky_dog_s11) 2015, 12月 12「MOVIE大戦ジェネシス」、タイムパラドックスやバタフライエフェクト、ハリポタでいうアズカバン的なドラマの作り方は面白いんだけど、その割には敵の行動原理とかあれこれが粗雑すぎてこれは観た後の考察も捗らない...。その上にアクションも終始偏差値43モードで進行するから見応え薄い。
— YU@K (@slinky_dog_s11) 2015, 12月 12「MOVIE大戦ジェネシス」。やっぱり金田監督は個人的にちょっと頭の痛い部類になってきた...。メリハリも緩急もなく、かといって重さもなく、ダラダラ&ふわふわとした絵作りがずっとそのまま進行するだけ。アクション畑の方なのにその戦闘シーンもぶっちゃけ全然面白くない。うーん。うーん。
— YU@K (@slinky_dog_s11) 2015, 12月 12春映画は土台からうんこなので観た後にイライラするんだけど、「MOVIE大戦ジェネシス」は一応ちゃんと作ろうとして何者にもなれてない感じのめちゃくちゃ普通な凡作という感じで、がっかり感しか沸かないのがむしろ辛い。
— YU@K (@slinky_dog_s11) 2015, 12月 12進之介と霧子の結婚へのドラマも、あれでいいの? 本当にこれでドライブ組は一応の完結なの? うーーん。
— YU@K (@slinky_dog_s11) 2015, 12月 12東映「お前なんかシラクラ大聖堂で歴史改変ビームを浴びろ!」
俺「うわ〜〜〜」(消滅)
ひとっ走り燃やし切りたかった...。徒歩で不完全燃焼だったよ、MOVIE大戦ジェネシス...。
— YU@K (@slinky_dog_s11) 2015, 12月 12もっと出来たろ...
もっと...
超MOVIE大戦ジェネシスのゴースト、例の浮遊アクションをやるんだけど、ふわー、ふわー、っと敵にボディタッチでちょっかい出して飛び回るだけの映像になってて、そこにタケルが「はぁ!」「たぁ!」とかっこよくアフレコするもんだから、もうよく分からないシーンで失笑しか無かった。
— YU@K (@slinky_dog_s11) 2015, 12月 12※以下、作品のネタバレがあります。
大筋は悪くないというか、同じ父親を失った者として進ノ介とタケルがタケルの父の死に向き合うというプロットは正直とても良いと思う。が、端々の演出や練り込みの甘さがあまりにも多すぎて、全く素直に楽しめないのがこの上なく辛い。
まず冒頭、TVシリーズ最終回で「仮面ライダーに変身しなくても俺は刑事で仮面ライダーだ」と決意を新たにした進ノ介が、仕事に消極的でギアが入っていないというシーンでガクっと。霧子との結婚で悩んでるのは分かるんだけど、それでも刑事という仕事には熱量高く向き合っていて欲しかったなあ。また、ゴーストの「見えない設定」が蔑ろにされていて、ゴーストだけが見えて眼魔だけ見えないという訳の分からない状況に。そもそも進ノ介とタケルがまるで初対面のように扱われているので、特別編やニュートンアイコンのあれこれもあやふやになっているという…。
また、マコト兄ちゃんがいきなり「だからお前は甘いんだ!」と言いながら乱入してくる非常に素っ頓狂なキャラクターになっているのも首をひねる。まあ、これは本編との兼ね合いでキャラをどっちに寄せるかがかなり微妙な時期だったので、仕方ないとは思いつつ…。結婚式で笑顔で進之介と霧子を祝福するマコト兄ちゃんはどこの世界線からやって来たのか苦笑いしかできないし、眼魂の特性(偉人への知識や想いが無いと発動できない)をちゃんと把握していないのも彼らしくない。

そもそも敵のタヴィンチも、いまいち行動原理が分からない。過去のアカリをさらって復活したかと思えば、10年間は表舞台に出てこない。「10年ぶりだな」とライダーの前に登場して「タケルが眼魂を集め出すのを待っていた」と言うが、そもそもなんでタケルや仮面ライダーたちのことをそこまで知っているのか分からないし、眼魂総取りを狙うなら15個が集まったタイミングで一斉蜂起するべきである。それらしくワンカットだけ出てきたアランと西園寺が妙な入れ知恵をしたという補完にしておくか…。
過去のベルトさんはそもそも、なぜ寺の境内に放置されていたのかも全く説明されない。驚きの雑さ。ベルトさんと進ノ介の再会のドラマも、感動も、ロジックも、何も無い。ただベルトさんが戸惑いつつも脚本の都合で協力するだけ。TVシリーズで描かれたベルトさんなら、そもそもいきなり自分を使おうとしてくる青年のことなんか信用すらしないだろう…。また、最後の戦闘で凍結から復活するくだりも、そもそも10年前から分かってたんなら凍結前にそれをちゃんと進ノ介に伝えておけとか、凍結を3ヶ月先伸ばしにしろとか、色々言いたいことはある。例によって記憶のロックがかかっていたのかもしれないけど、この説明すらも御都合主義が過ぎるので全くノれない。そして豪快に登場したトライドロンもまともに活躍しない…。
タケルの親父さんはめちゃくちゃカッコよかったし、斧で戦うのも、諸々を察してる姿も、息子を戦地に連れて行きつつしっかり守りながら戦ってあげる様も、とにかく魅力的だった。結局正史とは違うパターンで、しかし同じ流れで殺されてしまった訳だけど(タイムスリップにおいて細かいところは変わっても大筋が変わらないというよくあるパターン)、TV本編で親父さんの死の真相は明かされるのかな…? タケルの子役はめちゃくちゃ良い演技で、冷めた姿も泣きわめく顔も決意の表情もとても良かった。過去の自分を結構強めに叱咤するタケルもかっこよくて、正直ここはちょっとグッときた。

しかし、やはり問題はドライブ組である。鶴太郎と竹中直人のギャグシーンは面白いんだけど長過ぎて完全に話の間を切ってしまっているし、そもそも敵のダヴィンチ&味方のチェイスが登場して「ここから!」という場面で更年期ライダーのギャグに持って行ってそこからいつの間にか戦闘終了というのはもはや狂気の沙汰。チェイスの復活もあまりにもあっさり過ぎて感慨深さが無いし、別れのシーンも取って付けたような台詞を剛に言わせるだけで非常に勿体無い。そもそもこの映画、チェイサーもマッハもスペクターもまともに敵を倒していない。タイトルシーンの直前の前哨戦くらいで、後半は乱戦になるもちょっと善戦して後はフェードアウト。チェイサーも、結局はチェイスというキャラクター人気に頼っただけの再登場でしかない。ロイミュードの三幹部に至っては扱いが悪すぎて目眩がする。
結局は、記憶のロックといい、復活する人選といい、タイムスリップやバタフライエフェクトという説明が「御都合主義の言い訳」にしかなっていないのだ。本来このシナリオならば、その時間旅行の妙やロジックで魅せる必要があるのではないか。「モスラ3」のように眼魂を埋めて未来に送るあのテクニックのような、もっとあれを大局的にストーリーやクライマックスに絡めるべきだった。そもそも最初の戦いでゴーストが境内のオブジェを壊してしまい御成が「あれ高いのに~」とギャグをやるのであれば、タイムスリップした先で「…さっきのが壊れていない?(同じ寺なのに同じじゃない!)」というプロットにならないものか…。そこに気づいてこその進ノ介の聡明さや先輩っぷり、とかさ。
主に脚本に突っ込んだが映像も酷いもので、メリハリもケレン味もなく、やたら場面を切り替えてダラダラと進行する。いつの間にか取りあえず流した主題歌でライダー「以外」が活躍して、ゴーストチェンジもおまけのような扱いで、もう一体どこが魅力だったのかと…。唯一、高速で移動して射撃するフォーミュラくらいかな、良かったのは。前述したけど、ボディタッチしながら浮遊するゴーストはもうちょっとどうにかならなかったのか…金田監督よ…。鎧武外伝2でもそうだったけど、またもや完全なる「蒸しパン演出」祭りじゃん…。(妙にふわふわしていて途中で味が飽きる、の意)

進ノ介の先輩っぷりや、タケルの芯の通った強さ、親父さんや子役の活躍、霧子のウェディングドレスなど、良い点も沢山挙げられる。しかし、その良い点に集中できないほどに粗雑な点が多すぎて、「これがドライブのラストランなのか…これが…」と、がっかりしか湧いてこない。前売り券の売上が過去最高だったと聞くが、この内容でそれにどれだけ応えられるのだろうか。甚だ、疑問である…。
超MOVIE大戦ジェネシス、まさかの春映画特報無しとは...
— YU@K (@slinky_dog_s11) 2015, 12月 12(おすすめ記事)
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