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Channel: YU@Kの不定期村
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2040年のマクドナルドを創る第二世代(現20代)は果たして我が子を不健康に誘えるのか

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こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。

マクドナルド大好き人間として、昨今のネットはどうにも住み辛くなってしまった。こき下ろしてナンボの図式が多く、とはいえそれが行われる原因もとても分かるからこそ辛い。異物混入の対応が非常に悪かったりとスキャンダルなイメージ低下もあるが、価格やメニューの変遷といった根っこの部分で消費者を取りこぼし続けているような気がしてならない。

この記事はマクドナルドが大好きな一介の消費者が「日本マクドナルド」の今後を前向きに(?)考えていく内容なので、マクドナルドに良い印象を持たない人には何も面白くない内容だということを先に記しておきたい。また、私のマクドナルドに対する姿勢は過去記事である『ネットや世間が何と言おうと俺はマクドナルドを食べ続けたい』を参照いただきたい。


※※※


結論から書くと、「日本マクドナルドはこのままだと2040年以降が本格的にマズいことになる」という主張だ(そもそも2040年まで企業として存続できているか、という問題もあるが…)。裏を返せば、「残り5年前後の期間で若者にある程度訴求できるか否か」という意味でもある。まず、以下の図を見ていただきたい。


▲ハッピーセットに並べて記したキャラクターは年末のカレンダー採用のもの


これは日本マクドナルドの「世代」をある程度特定してみた図式である。日本にマクドナルドが初めて出店されたのが1971年、銀座の1号店(冒頭の画像)。そこから約20年かけてマクドナルドは国内で拡大を続け、1990年に晴れて47都道府県出店を達成している。この間、1987年の「サンキューセット」がその年の流行語大賞に選ばれるなど、ハンバーガー商戦を本格的に勝ち抜き国民に広く支持された歴史を感じることができる。

内閣府の調査『平均初婚年齢と母親の平均出生時年齢の年次推移』によると、1990年の第一子出生時の母親の平均年齢は27.0歳。その後年々上がり続け、2012年には30.3歳に達している。また、ネットリサーチDIMSDRIVEの『「ハンバーガーショップ」に関するアンケート(2011)』によると、男女ともに週1回以上ハンバーガーショップを利用するのは20代がトップとなっている。以上のことから「全世代において20代が最もマクドナルドを利用し、およそ平均として30歳前後で子供をもうける」と仮定し、「第一世代」「第二世代」を区分したのが上の図となる。(言うまでもなく男女差や世代差があるので数年の誤差があるであろうことはご承知いただきたい)

マクドナルドが一種の国民食として日常に受け入れられ、1977年のドライブスルー、1987年のハッピーセット開始(当初は「お子さまセット」)を経て人気を高めた時代。ここで20代を過ごした人たちを「第一世代」とするならば、彼らの子供が最もマクドナルドを利用する約20年後、つまり「2016年現在で20代の世代がマクドナルド“第二世代”」であると言える。私もそうなのだが、この第二世代は親が多感な時期にマクドナルドを食べて育ったケースが多く、幼児層を向いたハッピーセットを入り口として「日常的にマクドナルドに通い育ってきた世代」ではないだろうか。その半生においてマクドナルドは一種のソウルフードであり、幼少期からそこでポテトを買って貰ったりハッピーセットのオモチャを貰ったりといった経験が思い出に自然に刻まれている。

つまり、その「第二世代」は2020年に向けた残り5年で「マクドナルドを最も利用する層」から外れていき、また20年後にそこに差しかかる「第三世代」へのバトンを渡し始める。果たして現在20代の「第二世代」は、自分たちの子供をマクドナルドに連れていきたいと思うだろうか。思えるだろうか。その“20代”が多く蔓延るネットの現状を見ると、この未来はあまり明るくないのではないかと思えてならない。


※※※


ハンバーガーが一種の国民食として定着するも、バブル崩壊後の不況の流れもあり、日本マクドナルドは2002年に創業以来初の赤字決算となってしまう。奇しくも上の図を見ると2002年は第一世代と第二世代の“谷”となる時期であり、この頃に「世代交代以前の話としてすでに2000年当時の若者の心を掴めていなかったのでは」と推察することができる(ファンとしては単に不況の煽りだとしておきたいが…)。仮に「第1.5世代」がマクドナルドをあまり食べていなかったとするならば、必然的に「第2.5世代」、要は2030年前後の経営も危ぶまれるのではないだろうか。そして迎えた2040年が「第三世代」と考えると、日本マクドナルドの今後は非常に厳しいものであると考えることができる。

ファンという視点を完全に捨ててマクドナルドを見ると、果たしてそこに行きたくなるかという疑問は捨てきれない。成人男性がお腹いっぱい食べようとすれば、現状ではワンコイン(500円)では足りない。決して健康的なメニューではなく、価格も安くないとすると、じゃあ一体マクドナルドに足を運ぶ理由は何なのか。私は前述のとおり「マクドナルドが好きだから(慣れ親しんだ味だから)」以上の理由は正直なところ無く、それは第一世代である親に幼少期から連れていかれていたことが大きな要因となっている。そうやって「安いファストフードを食べる」より「マクドナルドを食べる」という目的意識が先行するため、不健康でも多少高くても喜んで通う。それが私のマクドナルドだし、大なり小なりそういった感覚を持っている人は同世代に少なくないのではないだろうか。





先のネットリサーチDIMSDRIVEの『「ハンバーガーショップ」に関するアンケート(2011)』において、マクドナルドとモスバーガーの比較を見ると大変面白い結果が出ている。それは、「味に関する満足度」ではモスバーガーがマクドナルドより高く、「価格に関する満足度」ではその逆の結果が出ているという部分だ。「値段ならマック、味はモス」という巷で広く言われる俗説が数字として証明されている。しかし、近年はその“値段なら”の部分が優位性を欠いているため、「じゃあなぜマックに行くのか」という根本的な行き詰まりが見え隠れし始めている。

「なぜマックに行くのか」→「マックが好きだから」。第二世代のひとりとして、答えはこれ以上でもこれ以下でもない。しかしそれは、日本マクドナルドが世代を超えて行ってきた展開の利点でもあり欠点、つまり「マックが好きだから=マックを昔から食べてきたから」という神話が崩壊していくとすれば、「人々がマクドナルドに行く理由」は本格的に失われていく。2020年以降の同社を支えていくのは、初赤字時期に若者だった世代の子供である「第2.5世代」、そし2016年現在20代である我々の子供が相当する「第三世代」だ。彼らは何を動機にしてマクドナルドに足を運ぶのか。「昔から食べてきた慣れ親しんだ味だから」は、現在の第二世代をピークに形骸化していく概念なのかもしれない。


※※※


マックカフェやヘルシー系のバーガーなど、女性やカフェ層を積極的に獲り込もうとしてきたここ十年程だが、コーヒーのおかわり自由も廃止されコンビニのコーヒーが台頭してきた昨今、その展開が実を結んだかと考えると非常に厳しいものがある。そもそも、マクドナルドに健康的な匂いやヘルシーさを求めてやってくる客はどれほどいるのだろうか。それは、前述の調査も併せて考えると、そのベクトルならばモスバーガーの方に利があるのだと思えてならない。





私としては、マクドナルドはもっと不健康かつジャンクで良いとすら感じている。肉と油を味わえる幸せを噛みしめる場であるべきで、その粗雑な味こそが最大の魅力だからだ。ヘルシーさや多様さを求めるよりも、マクドナルドで育った「第二世代」に「油ギッシュで不健康なマック!」をしっかり「日常フード」として定着させ、それをたまに家族で食べるファストフードとして持続させるよう誘導するべきではないだろうか。それなのに、せっかく世代を超えて獲得してきた「第二世代」を、ここ数年の経営によって大いに取りこぼしている。「昔から食べてきたから」という、最も無意味かつ最も説得力のあるこの動機の“利”を、同社は自ら捨ててしまっている。彼らが今最も繋ぎ止めるべきは、現在の20代ではないのか。

ファストフードながら一種のソウルフードにまで上り詰めたマクドナルドは、「ソウルフードだから」こそ、現在の若者(20代)をその動機が活躍できる最後のターゲットとして取り込みつつ、盛大に“離れ”を発生させ続けている。「マクドナルドはソウルフードだから」。この“ソウルフード性”が第二世代を最後に途絶え、味や価格面での利点も潰えた今、果たして同社は何を理由に顧客を獲得できるのか。「不健康さ」を味わえる幸せは、次の世代に継承されていくのだろうか。


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