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Channel: YU@Kの不定期村
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打ち切りを辿った「アメスパ」は俺たちの中で紡がれ続ける

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こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。

公開を間近に控えるMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)最新作「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」。その最新予告に、待ちに待ったスパイダーマンの姿が登場した。トニー・スタークの呼びかけで登場しキャップのシールドを奪ってみせた“新たな蜘蛛男”に、映画ファン界隈は騒然。スーツデザインや白目部分の大きさが変わる目の造形、どのようなオリジンを経てスターク側についたのか、ひいては吹替キャストは誰が担当することになるのか、話題は尽きるところを知らない。

私も「新スパイディうおおおお!」とテンションを上げつつも、内心では「これで真にアメスパが終わりを告げた…」と涙を拭っていた。マーク・ウェブ監督が撮った「アメイジング・スパイダーマン」シリーズは、好評を博したライミ版三部作から設定を一新。アンドリュー・ガーフィールド演じるピーター・パーカーの戦いと葛藤の日々が描かれた。が、様々な“大人の事情”によりシリーズは2作目で中断、予定されていた「シニスター・シックス」「ヴェノム」といったスピンオフ企画も霧散し、遂には「アベンジャーズ」で大成功を収め映画界を爆走し続けるMCUに統合(スパイダーマンの製作・権利をシェア)することとなった。そんな変遷を経ての、「シビルウォー」予告登場である。





ぶっちゃけて言うと、(製作費に対し)「売れなかった」から「コケ」て「続編企画が頓挫」した形であり、その報は何度も何度も映画ファン界隈に届いていた。「なんで映画アベンジャーズにスパイダーマンは出ないの?」というお決まりの問いに「実写映画化の権利をマーベルじゃなくてソニーが持っているからだよ」と答えていたのに、いつのまにか「実写映画化の権利をソニーが持っていたけどアメスパ2があまり売れなかった結果マーベルのMCUに新スパイダーマンを登場させて権利をシェアすることになったけど完全にソニーの手を離れた訳ではないよ」というこの上なく面倒臭い状況になっていた…。

言うまでもなく、原作アメコミのアベンジャーズにはスパイダーマンが参加しており、実写映画でもその並び立ちが拝めるとあってはワクワクが止まらない。トニー・スタークとピーター・パーカーの2人は原作「シビルウォー」においても切っても切れない関係性を見せたし、また新しいスパイダーマンの単独映画(オリジン)が観られるとあってはこちらにも期待が高まる(ベンおじさんは三度死ぬ!?)。そんな「ついにアベンジャーズにスパイディ参戦!きたきた!」という盛り上がりにはひとつも嘘は無い、が、「ついに… アメスパが真に終わったのか…」と心にポッカリ穴が開いてしまったのも事実なのだ。




マーベル・スタジオの新作アクションエンタテインメント「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」で、マーベル・コミックの人気キャラクター、スパイダーマンと最強チーム“アベンジャーズ”の夢の共演が実現する。スパイダーマンの登場シーンを収めたUS版予告編と場面写真が公開された。マーベルキャラクターのなかでも特に人気が高いスパイダーマンは、2002年の「スパイダーマン」を皮切りに5作品が製作されているが、実写映画で他作品のキャラクターと競演するのは今回が初めてだ。このほどのUS版予告編では、19歳の新星トム・ホランド演じる新スパイダーマンがお披露目された。

ついにスパイダーマンがアベンジャーズに合流!「シビル・ウォー」US版予告編で夢の共演!






いや、分かっていた。分かっていた…。「アメスパ2があんまり売れなかったから続編やスピンオフ企画の製作が危ういらしいよ」というニュースが流れた時から、覚悟はしていた…。それでもアメスパ大好き野郎はなんとかMCUにアンドリュー・ガーフィールドのスパイダーマンがそのまま参戦する「俺シナリオ」を妄想してしまい、「スパイダーマン:ワン・モア・デイ」の設定を応用すればアンドリュー続投のままアメスパがMCU入りできるのではないか、などと“不毛な足掻き”としか言いようのない戦いに身を捧げた。もちろんのようにそんなことはなく、アメスパは事実上の打ち切り。トム・ホランドが新たなピーターに選ばれた。

何故にこんなにもアメスパに執着してしまうかというと、やはり「アメイジング・スパイダーマン2」の幕切れがこの上なく劇的だったからと言う他に無い。最愛の恋人グウェン・ステイシーを戦いの中で死なせてしまったピーターは、スパイダーマンとしての活動をやめてしまう。来る日も来る日も彼女の墓の前で後悔に嘆くピーターだったが、ある時新たなる敵が登場し、以前彼に救われた少年がスパイダーマンのコスプレをして敵の前に立つ(ここで泣く!)。「ヒーローとは?」という問いを救った者に教えられたピーターは、もう一度あのマスクを被り、いつもの軽口を叩きながら(ここで泣く!)、グウェンを失った哀しみを乗り越えられずとも内包したまま敵に飛びかかっていく。そこで「2」の物語は幕切れ、彼の終わらない戦いの日々を予感させたままエンドロールに突入するのだ。

グリーン・ゴブリンによるグウェンの死は原作コミックを踏まえる以上予測の範囲内ではあったが、それでもエマ・ストーンが演じることで異常なまでの魅力に溢れていたので、すんでのところで“助からない”一連のシーンにはショックが大きかった。ピーターと同じように観ているこっちも大きな喪失感に包まれてしまい、だからこそ彼がマスクで涙を隠して再起するラストにガツンと殴られたように涙を流してしまう。ピーターが泣かないからこそ、観客が泣く。叔母さんとの会話から少年とのやり取りを経た怒涛のクライマックスは、「ヒーロー映画」としての「ヒーロー論」をこれでもかと熱く打ち出していた。





「2」終盤でグリーン・ゴブリンと結託する謎の存在、一作目ラストで投獄されたカート・コナーズ(リザード)の前に現れた影の男、ハリーとピーターの決着など、様々な要素は完全に放置されたままとなった。言うまでもなく「アメスパ3」に向けての布石だったろうし、スピンオフ企画「シニスター・シックス」にて大きく扱われる設定であったろうことは想像に難くない。だからこそ、アメスパシリーズはそういった意味でどうしようもなく“不完全”な作品だ。同時に、そうであるからして続編が期待されたし、あの戦いに身を賭するピーターの“その後”が「観たいような観たくないような、それでも観たい・むしろ観届けたい」という複雑な興味を煽っていた。

そんな期待と興味は大人の事情で完全にぶった斬られ、遂には叶わない夢となってしまった。しかし、その「続きが無い」という事象が、「2」の劇的なクライマックスを妙に神格化させたような向きもあり、あのピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)の戦いは未来永劫“終わらない”のだという本来あり得ない付加価値を生み出してしまった。グウェンを失った哀しみを抱えつつ、彼はこのままずっとニューヨークで戦い続けるのだろう。その「先が描かれないからこそ」の魅力が、より一層「2」のクライマックスを“重く”仕上げてしまうのだ。そうして、ただでさえ涙が止まらないラストだったあの一連のシーンが、更にインパクトの大きい存在になっていく。

…というような何処にも向けられない恨み言(?)をTwitterで呟いていたら、フォローしている方がこれでもかとドンピシャな例えを呟かれていた。


アメスパは絶頂期に死んだロックスターみたいな作品だもんね

— ozzy (@odubourne) 2016年3月11日

そう、「アメスパ」は、まさに絶頂期で亡くなったロックスターのような作品だ。ファンは彼のその後のパフォーマンスを期待していたが、それは叶わないものとなった。その代わりに、アガりにアガがった今の状態からこれ以上上がることも下がることもなくなり、威光は“遺光”のまま半永久的に語り継がれることになった。「続きが無い」ことがより一層作品をカルト化させるという皮肉の構図である。「アメスパ」の続きを観ることはもう叶わないのだろうけど、それでもこのシリーズを愛する私たちの中で、アンドリュー・ガーフィールド扮するピーター・パーカーの孤独な戦いは永遠に紡がれ続け、必要以上に美化され続けていくのだ。





(あわせて読みたい)
「アベンジャーズ / エイジ・オブ・ウルトロン」は駄作でも傑作でもない


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サルがぎりぎり出来ない超簡単な「ひとり鍋」レシピをレベル別に公開する
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