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Channel: YU@Kの不定期村
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「リア充オタク」を叩く「自称オタク」の見苦しさについて

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こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。

ワイドショー(今回は日テレの「ZIP!」)でまた「オタク」が扱われ、また「オタク」がそれに憤りを覚える。そんな何度目かの光景が今朝もやってきた。「リア充オタク」と名付けられたその存在は、かつてのオタクよりその趣味にかける消費金額が少なく、そこから生まれるキャップがアピールポイントであるという。


リア充オタクってなんだよ笑 pic.twitter.com/5rWa3JWbbt

— 暇人Y (@again_again441) 2015, 10月 8

そしてこの手のTV特集が流れるとシーソーの片側のように自然と沸き起こるのが、「オタク」の反論。例えば以下のようなものである。

年間2万5千円しか使わないのは、確実にオタクでは無いただのリア充。
そもそも年間10万もおかしいやろw毎月出る円盤一枚買ったら終わりやで?月間の間違いじゃないの?w

適当な調査だなぁw pic.twitter.com/WzknOQj1B1

— えびちゃん@ディフォルメ選手権 (@ebichang_RNC7) 2015, 10月 8

リア充オタクとかさっぱり
経済貢献してねーじゃんか。
ネットの違法アップ動画見て経費節約してるだけじゃんw
雑誌ぐらい買えよ。
イラストも超差別目線www pic.twitter.com/BSOGWLPIhW

— ガッテム竹内(元ハガキ職人) (@GTT214) 2015, 10月 8

そもそも論からいくと、若者の所得は年々減っているので金額が少なくなるのは当たり前なのだけど、まあこの人たちはそういうことを言いたいのではないだろう。(もっと言うと、別の機関がやっている類似の調査を安易に横並びにして比較する時点でアレだが…)

私も自分のことを「オタク」だと思っているし、年に何十本も映画を観て、フィギュアを買って、Blu-rayを買っているから、年間25,000円どころか10万はゆうに超えている。正確な額は出したくないけども…。だからといって、悪いけども上に挙げた人たちのように「リア充オタク」を叩こうとは思わない。というよりも、「年間25,000円とか低すぎる」「円盤もまともに揃えられない」「ファッションでオタクをするな」という叩き方は、本質的にその忌み嫌うワイドショーのやり方と全く同じなのだ。勝手な線引きで勝手に他人を区分けする。

いつからか、オタクは「金をかけている方が偉い」という精神を振りかざすようになった。まあ、“いつから”というより、もしかしたら最初からなのかもしれない。私も昔はこの辺を拗らせていたからこそ思うのだけど、その精神は「これだけここに金をかけてるんだから、ファッションその他一般人が金をかける部分がおろそかでも仕方ない」という一種の正当化や自己防衛、虚栄心によるものなのかな、と感じる。そうやって、白黒つけるとすれば日陰の方にいる「オタク」な自分を守っているのかもしれない。

でもそれが行き過ぎて、歪んで、こうやってTVでオタク特集があると、Twitterをはじめネットでは「自分はこれだけお金をかけてる自慢」が始まる。イベントへの交通費や参加費、そこで購入したグッズの数、フィギュアの値段、揃えた円盤の枚数、「桁が違うアピール」をして、何とか自分を守ろうとする。そして、ワイドショーと同じやり方で他者を叩く自分には全く気づいていない。

別にリア充でも何でも良いじゃない、と私は思う。何らかに、精神的or物理的に熱中し捧げているなら、それは「オタク」で良いと思う。じゃあ例えば、月額500円の動画サービスで観た映画やアニメについて毎日熱のこもった1万字の考察レビューを書いてネットに公開している人は、年間6,000円だけども「オタクじゃない」のだろうか。

めちゃくちゃ臭い物言いだけど、あえて何かで測るとするなら、それは金額でも時間でも知識量でもなく、作品やコンテンツに対する愛ではないのか。むしろ、リア充オタクのような存在もコンテンツにお金を落としてくれる(または将来的にその可能性を秘めた)同類なのだ。だから、変に線引きして「膨大な金と時間をかけている我々オタクの神域にやすやすと踏み入るな」と自称オタクごっこをするんじゃなくて、招き猫のようなしぐさでいかにそのライト層をもっと取り込めるかを考えた方が100倍意味があると思う。奇しくも先日「円盤が売れる以外のアニメのビジネスモデルはないのか?」という話が議論されたが、何よりも根っことして、そのコンテンツが好きな人が増えないと何も始まらない。

だからこそ、「リア充オタク」を叩いて締め出す「自称オタク」のやり方は、ただ自分たちの偽りの神域を必死に守っているだけで、結局はそのコンテンツの幅を狭める遠回しの自殺行為にしかならないんじゃないかな、と。仮に「愛があるなら金かけろ」と言うなら、子供の時に少ないお小遣いを工面して必死でシールをコンプリートしたあの頃は何だったのか、家族を養いいつつ捻出した趣味費でグッズを買う人はオタクではないのか。いやね、分かるんですよ。「ニワカは嫌い」「その程度で語るな」、分かる分かる。ついつい言いたくなる。でも、意外とオタク産業って「売れなきゃ即死亡」な世界でもあるし、どうせならライトな層もどんどん取り込んでいく方が(自ら締め出すよりも)意味があるんじゃないかな、と思うんです。

オタクはいつの間にかオタクに殺されるかもしれませんよ。


(あわせて読みたい)
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