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Channel: YU@Kの不定期村
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スター・ウォーズがこわい (サンプル)

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こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。

コンテンツには「角度」というものがあるのだと、私は常々感じている。例えば「ドラえもん」を例に挙げてみると、まずは原作漫画という「角度」があり、言うまでもなく国民的番組であるアニメという「角度」があり、そのアニメにおいても声優一新前後でのファン層の違いという「角度」、劇場版やそのリメイクの内容という「角度」、グッズ展開や各種メディアミックス、後世に与えた影響などの「角度」 …挙げていけばきりがない。

それらの「角度」は、オタク的なニュアンスで言い換えれば「語り口」とも表現できる。「ドラえもん」という作品をいかに捉えるか、そして、そのコンテンツを大いに味わうためにはどの程度の「角度」をカバーすれば“それなり”になれるのか。具体例を挙げれば、「帰ってきたドラえもん」を読みもせずに「ドラえもん」を語るのは“あり”なのか、という話だ。

この観点でいくと、私は「スター・ウォーズ」ほどに「角度」の多いコンテンツは無いのではないか、と感じている。まずもって映画6作のシリーズというのは決して気軽に観られる本数ではないだろう。しかも、そのどれもがしっかりと2時間以上のボリュームだ。というか、そもそもそんな次元ではないのだ。この6作、そして新たに2015年から始まる三部作を含め、「スター・ウォーズ」は文字通り大いなる“歴史”を紡いできた。1977年の「エピソード4 / 新たなる希望」から2005年の「エピソード3 / シスの復讐」までの28年間。ある意味、単なるシリーズでも、もっと言えば映画ですらなく、「スター・ウォーズ」というジャンルであり宗教として燦然と輝き続け、そして10年ぶりの続編を携えてその光は一層強くなってきている。

私は映画が好きで、特撮が好きで、SFも大好きなのだが、実はつい最近までちゃんと「スター・ウォーズ」を観たことがなかった。2014年にやっとこさ6作を一気に鑑賞したのだ。それに至った理由はいくつかあるが、むしろその前、「なぜそれまで観る気にならなかったか」というのが表題の「こわい」に相当する。





率直に答えから書いてしまうと、それは、「角度」が多すぎるから。新作公開に際してネットでも一層スター・ウォーズ熱が高まっており、その界隈では筋金入りの好事家たちが布教に熱心だ。しかし実際に観るまでの私にとって、その呼びかけは非常に距離のあるものだった。いくら「初心者大歓迎だよ」と言われても、それは深い深い谷の向こう岸から叫ばれるような感覚であった。この感覚も、言ってしまえば私自身が非常に面倒臭いオタクであることの証左だったのだろう。

「角度」は、実はオタクであればあるほど“数えられる”ものだ。オタクは、そのコンテンツに対する中途半端をどことなく嫌う。好きな物なら突き詰めてナンボ。ネットの普及と共に知識量が拳になる時代はもう終わりを迎えていると思うが、それとは別に、やはりコンテンツを隅から隅までむしゃぶり尽くしたいという“気概”を持っているのではないだろうか。少なくとも、私自身はそうであるし、それは今も大きく変わらない。だから、例えば全く門外漢のアニメを観る際に、それが原作付きならそれにも目を通したいし、スピンオフや番外編もあるならその鑑賞も視野に入れるし、何ならネットを開いて放送当時の反響やレビューを探しに行ったりするだろう。

そういう「角度」が、「スター・ウォーズ」にはあまりにも多すぎるのだ。私自分の趣味の範疇から考えても、「スター・ウォーズ」の「角度」は非常に数えやすく、それでいて数え切れなかった。6作の合間合間に位置する小説が多数あるのは前提として、そもそも公開版とディスクに収録されている内容とでは違いがあるとか、幾度とない修正が施されているとか、特別篇というものが存在するとか、スピンオフのアニメシリーズも結構なボリュームがあるとか、ワンシーンに映る多種多彩な宇宙人やメカの細かな名前すらファンは知っているとか、あまりにも膨大な裏設定や考察に囲まれながら、何より“それ”が全世界に巻き起こしてきた旋風や論争までもが明確に「角度」に数えられてしまう。だから、全く観たことのないこじらせたオタクが“それ”と相対した時に、非常に高い壁と多い角度を察知してしまうのだ。俗な表現で端的に言ってしまえば、「敷居が高い」。

今となっては遅いが、もっと自分がオタクとしてこじらせていないタイミングで踏み切れば……






■完全版は2015年12月末発売予定の電子書籍『THE BEST』(0円)に収録予定。詳しい内容や進捗状況はこちら


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