Quantcast
Channel: YU@Kの不定期村
Viewing all articles
Browse latest Browse all 177

取り返しのつかない告白。私はこんな推理小説・ミステリーが読みたかった

$
0
0



こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。

私は推理小説やミステリーが好きなのだけど、全然と言っていいほどに詳しくない。名作と呼ばれるもので読んでいないのも死ぬほどあるし、勧められてリスト化して放置しているのも山ほどある。だから、その筋の詳しい人からすれば鼻で笑っちゃいそうなこの「告白」だけど、ズブの素人の戯言と思ってお付き合いいただきたい。

多くの人がそうだと思うのだけど、私はクライマックスで「うわー!やられた!」と頭を抱えるミステリーが好きだ。もう存分に騙してもらいたい。完全に意識の死角を狙われるパターンや、文字の上でしか成立できないケースなど色々あるが、読んでいて「くっそ!くっそ!」と悔しがりながら満面の笑みというあの感情を味わうのが大好きだ。だからそのひとつとして、「信頼できない語り手」という手法はいつも読みながら“選択肢”に加わっている。


「信頼できない語り手」とは、ある小説において事件が叙述される際、真相とは別のことを語っている語り手のことを指しています。例えば子供の語り手、記憶障害者の語り手、あるいは読者をあえて欺こうとしている語り手などがよい例でしょう。容易に想像がつくように、このような語りの手法はミステリとの相性が大変よく、読者をミスリードするためにしばしば用いられてきました。

読書の愉悦 クランチ・ユーザーの小説 CRUNCH MAGAZINE(クランチマガジン)


例えば「恋人と付き合って別れた」という一人称視点の小話があったとして、壮大なラブストーリーが展開されハッピーエンドを迎えるも、最後の最後で語り手も恋人も男であったことが判明すればこれまでの内容もガラッと変わって見えてくるような、そういうやつですね。これ系統の“騙し”のミステリーが本当に好きで、幾重にもパターンを練って読み込むけど綺麗に上をいかれたり、そしてまた読み返して「あー!ここはこうじゃなくてそういう意味か!」などと何度も殴られに行くドM体験を繰り返す。

そのパターンで、ありきたりながら私は「主人公が犯人」のミステリーが読みたいな、と“思ってしまった”。しかしこれは禁断の気付きというか、そのパターンが読みたいと思ってネットで探そうにもそれって必然的に最大の“騙し”に読む前から気付いてしまう… つまりネタバレ不可避な出会い方になってしまうので、探そうにも探せないというジレンマに陥る。これを回避(?)するためにはもうひたすらに未開拓のミステリーを読み続ける物量作戦しかないと思うと頭を抱えてしまう。いや、探せばある。ネットには色々まとめてある。結末に言及していなくても「騙されたい人向け」みたいなくくりでまとめてあるサイトは多いのだけど、でもそれすらもなんだか「落とし穴があります。どう落ちるかはお楽しみ!」というやつで、こっちとしては「落とし穴」にすら気付いてない“ふり”をして読みたい訳ですよ…。しかも私が切望してしまったのは「主人公=犯人」パターン、しかも「主人公が探偵=犯人が一人称視点で語られる」パターンを読んでみたいと思ってしまったので、もうこりゃ完全に“詰んだ”な、と。





「主人公が探偵=犯人」パターン。ミステリーや推理小説に造詣が深い方はこの時点でいくつか挙げられるのだろうけど、私はここから更に妄想を重ねてしまった。私の脳内で展開された物語は、「主人公である探偵の推理行動がそのまま偽装工作に繋がっていたことが後に判明する」というものだ。例えばよくあるパターンと仮定して、主人公は探偵で(彼の一人称視点)、何らかの集まりで交通手段も連絡手段も途絶えた雪山の山荘に閉じ込められたとする。そこで殺人事件が起こり、主人公は捜査に乗り出す。雪の上に残った犯人の足跡などに反応しつつ、他の登場人物をワトソン役としながら推理を展開していく。しかし実は主人公自身が犯人だったことがクライマックスで判明する。足跡に反応していたのは、“探偵だから”ではなく“犯人だから”。自らの犯行時のミスを、推理しながら洗い出し密かに処分し、別の人物の仕業かのように誘導していたのだった。

…という内容で(足跡はあくまで例)、つまりは探偵の一人称視点で「この足跡は犯人のものだ!」が後に「この足跡は犯人のものだ!(ちくしょー!まさかあそこに証拠を残してしまうとは!やっちまったぜ!よし、あれをああしてこうして、この足跡を逆に利用してアイツを犯人に仕立て上げるんだ)」に反転するというトリック。一読目の「探偵としての気付きや焦り」が二読目には「犯人としての気付きや焦り」に、「読者に対する推理展開」がそのまま「偽装工作」にもなっているという二重構造。まあ、こんなのは、全然新しくもなんともないと思うんですよ。絶対沢山書かれていると思う。でも、ここまで妄想してしまったら、“もはや探せない”。完全に投了。妄想が捗ったおかげで自らの首を絞めた形になってしまった。(実はもはやここまで妄想したなら自分で書いてしまうとも思ったが、書き出し30文字あたりで「いや無理だろ」と思ってやめた)

だから、こうやってブログで「告白」することにした。ミステリー・推理小説にお詳しい皆さん、ぜひ教えてください。もう「落とし穴に気付かなかったふり」は諦めました。落とし穴の構造を楽しむ、という方向に舵を切ります。「主人公である探偵の推理行動がそのまま偽装工作に繋がっていたことが後に判明する一人称視点のミステリー」、またはこれに近いトリックのものはありませんか? 無いはずは無いと思うんです。こんな今更な思いつき、絶対昇華されて作品になっているはず。ぜひ、コメント欄やTwitterでこっそりと教えてください。お願いします。(…というようなことを実は前にもTwitterで投げかけたら何冊か勧められて実際に読んでかなり近かったけどそのタイトルすら誰かを「落とし穴に気付かせる行為」としてここには書けないジレンマ…)


▼映画レビューやエッセイを全21編+総勢12名による挿絵20点以上を収録した無料電子書籍、発売中。詳細はこちら



※映画・特撮の感想(レビュー)など、全記事一覧はこちら
【Twitter : @slinky_dog_s11 】【はてなブックマーク : slinky_dog_s11 】【LINE : @fgt3013f

【過去記事】
乗り換え変身の無意味さから読み解く「烈車戦隊トッキュウジャー」
アラサー男子が観た「ジャニーズ年越しライブ2015-2016」とジャニーズ4属性
「ソースはWikipedia」という砂上の楼閣
「フォースの覚醒」のライトセーバー戦は“もっさりだからこそ良い”のではないか

Viewing all articles
Browse latest Browse all 177

Trending Articles