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週刊デスノーザー【第11話(最終回) 万歳人間】ドラマ版「デスノート」全話レビュー&解説連載

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こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。

終わってしまった…。終わった。終わってしまった。製作決定の報からずっと追いかけてきたドラマ版デスノート。全11回の放送が終了。どうしても用事があり最終回をリアルタイムで視聴できず、当日は深夜に帰宅しそのまま眠ってしまったものの、最終回が気になり過ぎて早朝6時に自然と目が覚めるという展開へ。そのまま朝早くからあの壮絶なラストを観て慄き口をポカンと開け、更には映画「デスノート2016」の告知にも頭を殴られた感覚で呆然。いいなあ、「デスノート」って。楽しいなあ。

毎週書いてきたこの週刊デスノーザーも、ついに最終話の更新。この記事ではまず11話(最終話)の感想・解説をまとめ、また別個で「週刊デスノーザー増刊号:ドラマ版デスノート総括記事」を書く予定です。よって、この記事含めてあと2回の更新です。読んでいただいている方々、いつもありがとうございます。では、追ってみましょう。新世界の神を目指した男の生き様を。



週刊デスノーザー【第11話(最終回) 万歳人間】


【週刊デスノーザー各話リンク】
目次(総括)創刊号1話2話3話4話5話6話7話8話9話10話11話(最終回)


【ストーリー】

キラ=月(窪田正孝)の暴走を命がけで止めようとしたL(山崎賢人)に続き、総一郎(松重豊)までもが命を落とした。犯罪のない理想の世界を作り上げるためにはどんなことでもすると心に決めた月は、警察を総動員してメロ(優希美青)を抹殺しようと決意。しかしメロも、月がキラであると証明してすべての勝負に決着をつけるために周到な罠を張り巡らせていた!

そして遂に、メロの潜伏先を突き止めた月は、魅上(忍成修吾)に“死神の目”でメロを殺すよう命じ、同時に海砂(佐野ひなこ)の手でキラ対策室全員を殺すことを計画。

死神に憑りつかれた月は、“普通じゃない方”の運命を手に入れることができるのか?月がキラである可能性から最期まで目を離さなかったLが、ビデオに託した真実の思いとは? 月とメロ=ニアの、相手の作戦の裏の裏のその裏まで読みあう究極の勝負の行く末は? 今、審判の時が訪れる!! 新たなる結末へと向かって…。


【ピックアップ台詞】

「まだだ、まだやれる…。ここで諦めたら…なんのために…。ノート…ノートがあれば…キラは死なないっ。平和な世界を、…作るんだ!終われない!こんなんじゃ、終われないぃ、終われないんだよぉッ!思いは、思いは…俺も同じだ。ぁあ!やってやる!俺が世界を変えてやる…っ!」



【トピック1】夜神月、壮絶な最期

まず特筆したいのは、やはり窪田くん演じる夜神月の壮絶な散り様だろう。もう本当に、お見事だった。あんなに血糊をまとって涎と涙にまみれて這いつくばる月を観れただけで結構万感の思いというか、このドラマ版デスノートがどこに魅力の比重を置いてきたのか改めて確認できた最終話だった。では、その最期を原作と比較していきたい。





「ニアに追い詰められた月が何とか危機を脱しようとするも叶わず捜査本部メンバーに撃たれ無様に這いつくばって死ぬ」という流れは、ドラマ版も完全に原作と同じである。しかし、そのシーンが意味するところは実は180度逆だったりするのが面白い。

原作の月は、ニアに追い詰められキラと自白した後に、そこから長々と演説を繰り広げる。饒舌に自身の正当性を説くが、ニアにその善悪論を一蹴されてしまう。その後腕時計に仕込んだノートの切れ端にニアの本名を書こうとするが、松田に狙撃され、血にまみれで這いつくばる。頼みの魅上にも「あんたは神じゃない!クズだ!」と見放される。そしてリュークに「奴らの名前を書け」と懇願するが、「俺にすがるようじゃ終わりだ」と逆に自分の名前を書かれてしまい、程なくして死への恐怖を叫び絶命。見開きの黒いページが“無”を演出し、彼の人生は幕を下ろした。

原作の月は、「新世界の神」「キラは正義」という自身の信念をニアにあっさりと否定される。「自分が正しいと思うことを信じ正義とする、そこはあなた(月)と同じだが、キラは私の中では悪」だと。そして厚い信仰心を向けてくれていた魅上も、「自分をこんな目に合わせるあなたは神じゃない!クズだ!」とあっさり否定。面白いものが見たいという動機で月とずっと一緒にいたリュークにさえ、「ここを切り抜けられないのならお前はもう終わりだ」と見放される。ことごとく自身が築き上げてきたものをボロボロにされ、しかも死神に名前を書かれるというロジックもクソもない安易な方法で殺される。それが最大の皮肉であり、この落差を持って夜神月というキャラクターが完成したといっても良い。





では、ドラマ版の月はどうだろうか。実はここが最高に面白いところで、ニアの正義論も、魅上から見放されるくだりも省略されているのだ。その魅上は最後まで神を信じ彼の為に行動を起こす。その上、月は最後になっても燃えるノートに向かって懸命に突き進み、リュークにすがるどころか死神の目の契約まで申し出る。しかし、程なくしてノートから引火し焼死。最後まで自身のプライドを貫き通し、それに殉じる形で壮絶な死を遂げた。リュークは最後まで「人間は面白い」と感じ、死神界に帰っていく。

積み上げてきたものをボロボロに崩されて死んだ原作の月に対して、積み上げて積み上げてそこを突き進んだ末に死んでいったのがドラマ版の月だ。この対比は非常に明確であり、それはこのドラマ版が1話からずっと「平凡な青年が堕落していくドラマ」を描いていたからに他ならない。最後まで誰に頼ることなく、すがることなく、むしろ「思いは一緒だ」と対策室メンバーには部分的に認められ、魅上の信仰心も勝ち得たままで、リュークには対等の契約を持ちかけ、折れることも後悔も無く死ぬ。それも“火葬”とも取れる焼死とは原作よりも劇的な最期と言えるだろう。

以前にも書いたが、原作者の大場つぐみ先生はそのインタビューで「デスノートは人間ドラマを描かなかったからこそスピーディーな展開ができた」と語っている。つまり、人間ドラマや過度な善悪論をあえて排し、予測不能の事件主体で転がり続けたのが原作デスノートの魅力であった。だからこそ、孤高の天才が周囲をいとも簡単に利用し、切り捨て、自身の正義を貫かんとしたことが、その全てを否定されボロ雑巾のように地に伏すことによって“完成”するという構図だ。ドラマ版はその原作がある意味否定してきた人間ドラマに比重を置き、平凡な大学生がノートを使用し次第に自身を歪め、苦悩しながら戻れない位置まで針が振り切れ、滑稽にも新世界の神を目指したことでその理想追求にしっぺ返しを喰らう展開で“完成”となっている。





「“キラ”はもしかして正しかったのではないか?」。これは、デスノートを読んだ多くの人間が抱いてしまう疑問だ。実際にキラが現れたら、世の中はどう転ぶだろうか。本当に犯罪は激減し、それに従う国や組織まで出てくるのだろうか。悪人の死の上に築く世界の何がタブーなのだろうか。連載当時からその議論の多くが善悪論や命の重さに傾いていたが、今回のドラマ版はこれにもうひとつ、疑問をくっつけてきた。それは「“夜神月”は本当に間違っていたのだろうか?」というものであり、彼がノートを手にして以降、何に悩んできたか、どんな葛藤を得てきたか、いかなる危機を乗り越えてきたのか、その全てを一緒に体験してきたからこそ、同情と憐みが入り混じる不思議な疑問を抱いてしまう。

善悪論で言えばキラは悪。殺人は犯罪。罰せられて然るべき。そんなのは十分に分かった上で、「でもこの夜神月は、こいつは違うんだ、こいつはこいつなりの信念が…苦労が…悩みがあって…それで仕方なく…」と謎の弁護が無意識のうちに始まってしまう。「夜神月の死に様に観ている側が葛藤と後悔を覚える」というこのバランスは、絶対に原作の夜神月にはなかったものであり、このドラマ版最大の魅力と言っていいだろう。

それは彼の内面描写を事細かに描いてきたシナリオもそうだが、何より演じる窪田正孝の力が大きい。最終話の所々で1話の頃の月が回想シーンとして出てきたが、もうこれがびっくりする程に顔付きが幼い。無垢な顔をしている。「ああ、こんな頃もあったな、随分遠くまできたな…」と、その無情さにやり切れなさを感じてしまう。この頃の純粋無垢な表情をしばらく忘れていたし、そんな顔をしなくなった理由にもしっかりとした説得力があり、順を追って回を追って我々はそれを観てきた。窪田くんの全11話における演技プランが見事に決まったということだろう。クリーンヒットである。こんなにも多彩な表情で夜神月を演じてくれたことに、一介のデスノートファンとして、ただただ敬意を表したい。





最後の最期になっても彼が絶対に自分を曲げないこと、むしろ、父や友を犠牲にしておいて今更自分を曲げることが許されないのは誰よりも本人が分かっているということ、もはやキラとしての自分を自分自身で盲信することでしか人格が成立しなくなっていたこと、その全てが台詞でなく心で理解できるのは、窪田正孝の熱演の積み重ねがあったからこそだ。

原作の月とは違う結末。それはこのドラマ版がずっとメインで描いてきた部分であり、そこを最大限に活かした主演の窪田正孝が本当に素晴らしかった。原作は基本として、正直私には映画版やアニメ版よりも今回の夜神月の魅力にやられた。完全に上をいかれた感覚すらある。ひいては、このドラマ重視のデスノートで彼を主演にキャスティングした製作陣にも心の底から感謝したい。



【トピック2】亡きLの計画とYB倉庫決戦

…ということで月の最期をメインとしたドラマ的な魅力には私の中で拍手喝采なのだが、正直ロジック面では消化不良感が残る。うーん。ドラマ面が最高だっただけに、ここがもうちょっと面白ければなあ、というのが正直なところ。大きく破綻している訳でもなく最低限ちゃんとやろうとしているから、だからこそ細かい点が気になってしまったり。原作の病的なまでの理詰めはやっぱりすごいなあ、と。そんなLとニアとメロ(と、リドナー)の計画をおさらい。





まず、Lは死ぬ前にいくつかのビデオテープと計画を残していた。ビデオテープはワタリに「監視と偽装」をお願いするものであり(ドラマ公式サイトでフルバージョンが視聴可能)、監視は月の、偽装はノートの、というのが自然な答えだろう。L死亡後にこの指示を受けていたのが、ワタリ、ニア(メロ)、そしてハル・リドナー。リドナーは元FBI捜査官という背景を持ち、なんと始めからLの指示で動いていたとのこと(原作の美空ナオミの設定を流用している)。

真相を知っていた彼らは亡きLの指示のもと粧裕を狂言誘拐し、キラにボロを出させる作戦に出た(メロが人格の主導権を握るのも計画の内だった)。後の突入のタイミングを知っていたことからやはりキラは対策室内の者だし(詳しくは先週のデスノーザーにて)、検事が怪しいと睨んでいた後に拘束されたメロの取り調べ担当検事が魅上となった。このことから彼らは魅上をキラの仲間と断定し、彼の事務所に忍び込み行動を監視。ノートのすり替え作戦を決行する。

その最中で夜神総一郎が死に、結果として対策室メンバーが(おそらくワタリを通して)ニアと結託することになる。夜神月を罠にかけるために、警察組織と協力しYB倉庫に踏み込むというでっち上げの舞台を作り上げ、その直前に魅上の赤ノートをすり替える。キラ側は直前のLのこともありノートのすり替えを予期しており、対策を講じていたが、ニア側が魅上のPCをハッキングしノートを本物に見せかけるという用意周到さを見せそれも届かず。結果として、警察組織全体が見守る中で2人のキラはのこのこと偽のノートを持ってメロを殺しにやってきた。種明かしをし、大衆の前で自白させ、ニアは正面から月に負けを認めさせようとした。そしてそれは、亡きLが提案した勝ち方だった。





狂言誘拐はわざと捕まってもうひとりのキラの正体を暴くことにあり、「メロの取り調べ担当検事になった」「Lが死んだ際に対策室内にいた」というダブルロジックで魅上を黒と断定。ここはいい。しかし「メロが人格の主導権を握ったのは芝居でした」というのはやや肩透かしというか、そうであるならば「メロってなんだったの…?」という感想に行きついてしまうのだ。このドラマ版デスノートにおいてメロの唯一の役割は「誘拐事件に割り込みわざと捕まる役どころにおいて行動原理的に自然なキャラクターだった」ということであり、わざわざ二重人格設定にしておいてこれはちょっと哀しい。しかも「ニアです。メロはわざとでした」以降はろくに出番も無く、せめてニアがLのビデオレターと一緒に月を追い詰めるくだりでころころと声色を変えて「1対3」の構図を作って欲しかった。

まずもってメロの使い所が弱いし、最低限は理が通っていて大きくは破綻していないだけに、そのもったいなさが浮き彫りになる。また、「魅上のノートをキラ側が用意した偽物まで含めすり替えていました」は原作通りの最後のトリックなのだが、その準備期間が圧倒的に短くカタルシスに欠ける。原作では月とニアがYB倉庫で最終決戦を約束してからそこそこの準備期間があり、二度読むと「どの時点で互いが何を確認していたのか」が分かるように細かい描写や伏線が積み上げられていた。だからこそ、「詳細は分からないけど互いに何か用意しているようだぞ。さあどっちが勝つのか?」という漠然としたワクワク感を持ってYB倉庫編に突入する。





ドラマ版はこの溜めが少なく、しかも全てを後出しで語らせてしまっている。キラ側がノートのすり替えを予測して偽物を用意していたことも、ニア側がとっくに魅上まで辿りついていたことも、そのほとんどを種明かしパートで語らせている。メロがワタリに電話で「やることは分かってるよな」と言ったくらいだろうか。せめて月がメイド喫茶のVIPルームで「魅上、例の件の準備はできているな」とさりげなく視線を交わすとか、ワタリがパソコンをカタカタいわせている短いカットとか、「両陣営とも何か動いているぞ…!」という描写をもっと入れて欲しかった。YB倉庫での決戦は、例えばカードゲームで手札を十分に補充した両者が次々とそれを切り出していき先に万策尽きた方が負けるような、そんな緊迫感のあるロジック合戦が魅力だっただけに、その上澄みだけを簡略化してやってしまったドラマ版は、頭脳戦の魅力にはちょっと足りていなかったと言わざるを得ない。

そもそも「ハッキングして嘘のニュースを流しました」と簡単に言うが、それならもういっそのこと全国的にあえて嘘の報道してましたの方が面白いし、魅上が死んでいない犯罪者の顔を見ても寿命により生死を判別できなかったのは「死神と眼球の取引をし、その目で見える人間の寿命は人間界にあるデスノートに関わっていない人間界での本来の寿命である」(ルールXXX)と「死神の目を取引した人間は、写真等で既に死んでいる人間の顔を見ても、名前も寿命も見えない」(ルールXL)のバッティング的にどうか疑問だし、原作では「魅上が1日1ページの裁きを律儀に守る男」という下地があってこその作戦だったのにそれが無いドラマ版では不確定要素が多すぎるし、メロを確実に倉庫で殺しにこさせるための心理誘導なのは分かるがトラックの積載物で襲うのはちょっとお間抜けだし、結果として総一郎とリドナーを死なせてしまっている計画にそれでいいのか?と聞きたいし(総一郎にあんなビデオレターを見せたら彼が強硬手段に走ってしまうことをLは予測できなかったのか…)、言いたいことは山ほどある。





YB倉庫での「ノートすり替えました→対策してました→それもすり替えてました」をやるならやはり事前の“溜め”は不可欠だったし、それが尺の都合でできないのであれば別のトリックでの決着でも良かった気がしてならない。あまりにも結果論的な部分だけをなぞってしまっている。まあ、原作二部の「メロによる粧裕誘拐」「ニアによるYB倉庫決戦」をニコイチのエピソードにしようとするアレンジ精神は買うが、もう少しがっちり煮詰めて欲しかったところ。



【今週のここが良かった!】

最高に良かった点は前述の通り窪田版月の壮絶な死に様なのだが、その他のポイントについてまとめていきたい。

「死んだ後に行くところは無である」というアバンタイトルに始まり、毎話リンゴに切り込みが入っていたのに最後は齧り取られている提供画面。もうここで「いよいよ終わるな…」という思いが込み上げてくる。総一郎の葬儀のあと、月にあえて聞こえる位置で捜査方針を話し合う模木さんたちも面白い。その後、携帯の発信履歴からメロの動向を掴んだと伝え、「それじゃあ」とやけにあっさりと立ち去っていく模木さん。この時点で真相を知っていたと思うと、佐藤二朗の絶妙な演技が素晴らしい。





キラスマイルを浮かべる月に不意にお茶を持ってくるワタリや、「どこまでもついていく」と盲目的なまでの愛と献身を語るミサ、原作のようにいざとなったら切り捨てる感じはなくあくまで「3人で一緒に観よう、犯罪のない新世界を」とチーム感を推し出してくる月など、好きな演出が続く。この「キラチーム」「キラ一派」的な感覚は原作には薄かった要素なので、コソコソ集まって秘密会議してるだけでも結構面白い。しかも部下2人からの信頼を首領・夜神月が完全に勝ち得ているのが良い。ワクワクする。

リドナーの爆死から逃れ「どうせLのビデオ観て落ち込んでたんだろ」とワタリに電話を掛けるメロ。この言い当てるニュアンスは、Lのビデオレターの松田宛てのフレーズとも似ていて興味深い。そしていよいよYB倉庫決戦。「馬鹿、俺に微笑むな、まだだ、まだ笑うな」の窪田くんの声の演技が最高すぎる。そして突如浮かぶスクリーンは謎技術ながらハッタリが効いていて面白い。どうせ最初から待ち構えていた場所だし、色々準備はしてあったのだろう。少なくともスピーカーもあったようだし。

「自分が死んだら息子をキラと断定しろ」という総一郎の死に際の決意、「どちらを選んでも君の負けだよ」とLとニアがハモる演出、そして始まる窪田劇場。「人を殺すのが犯罪? そんなのはわかってるッ! これは俺に与えられた使命なんだ!誰にも止められないッ!」。ニアは原作のように正義論を語ったりはしなかったが、「私にはできません、友や父親まで手にかけるなんて」と月の後悔ポイントを的確に突いてくるのが良い。魅上の「神ぃ」からの「神じゃないっ!…あなたは哀れな人殺しです」も緊張感があってGOOD。





松田が月を銃撃し、ちゃんと腕時計がはじけ飛ぶカットが挟まる。模木さんが本気で「頼む!頼む!目を覚ませ!」と懇願すればするほど、月の悲哀さが増していく。「なんで、なんで分からない!なんで分からない!この馬鹿どもがっ!」。そして最後まで神のために尽くした魅上によって、赤ノートが先に消失。

「死神が持ち込んだノートが燃える等して人間が使えなくなった時、人間界にデスノートを持ち込んだ死神は死神界へ戻っていい」というルール(LXVI-2)が原作にはあるが、ノートが“燃えた際”の所有者・使用者の記憶に関するルールは実は明確には定められていない。ただこれは単純に「デスノートの所有権を失った人間は自分がデスノートを使用した事等の記憶が一切なくなる」というルール(XXII)が適応されたと考えれば整理はできる。焼失=所有権が消える、ということだろう(ただしすでに所有者でなかったミサの記憶の扱いと切れ端の消失についてはやや疑問が残る…)。ちなみにミサに対してメンバーが言った「ありゃありゃ~」は彼女らがいつも歌ってた歌のタイトル。この辺の芸が細かい。

「死神に取り憑かれた人間でも…幸せになれることを見せてやるよォ!」。壮大なグランドメインテーマが流れながら必死に這いつくばる月。総一郎やLが脳裏にフラッシュバックする。「まだだ、まだやれる…。ここで諦めたら…なんのために…。ノート…ノートがあれば…キラは死なないっ。平和な世界を、…作るんだ!終われない!こんなんじゃ、終われないぃ、終われないんだよぉッ!思いは、思いは…俺も同じだ。ぁあ!やってやる!俺が世界を変えてやる…っ!」「何でもやってやる!他の誰にもできないッ!…だから俺が!」そして目の契約を持ち出すも、焼失。使命とプライドに殉じた夜神月。そしてその人間を最後まで「面白い」と評して去っていく死神リューク。





エピローグとして、やはり月への友情の念が強かったのか別パターンの映像も撮っていたL。魅上やミサのその後も知りたかったが(特にミサは月を愛する感情だけは残っているはずだが)、原作でもこれは語られずに終わったので、まあ、そのままと言えばそのままかな。原作副読本ではミサはこの約1年後に死亡したことになっているけども。そして昼間の“月”が映って終了。これにて、デスノートの物語は幕を下ろした。



【今週のここがダメだった!】

主な部分はYB倉庫決戦のガバガバロジックで前述の通り。

まず、模木から日村の携帯が使われた報告を受ける月だが、その時点で「発信先は〇〇〇だった」と模木が言い出さないことへの警戒が足りない。自分が電話を受けているのだから何らかの言い訳は考えていたのだろうけど、そこを問われないことを不自然に思うべきだ。「いつも使ってる屋上がメロにばれた」もちょっと思う所はあるけど、シリアスな笑いとして最高だったからノーカウントにしたいところ。





明らかに怪しいトラックの荷台に不用意に近付いちゃう月とか、検事である魅上がYB倉庫の現場に立ち会う理由付けはどうなってるんだとか(検事は捜査権があるとはいえ)、逃げていく特殊隊員(に変装したメロ)を自分以外気付かないことに月が無警戒すぎるとか、魅上がノートにニアの名前を書いた時に秒針がちょうど0から始まってるのは不自然とか、月は黒ノートを丸々持ってきてたのかよ!とか、松田が撃つ前のあの時間ではニアや模木くらいの名前は書けたのでは?とか(ニアの名前は状況的に覚えきっていないのかもしれないけど)、「そんなもん後だ!もう誰も死なせない!」と火災現場から逃げるのはいいけどやはりデスノートだけは何が何でも確保しておくべきだとか、もう細かい点を挙げていったらきりがない。きりがないよリューク。



【来週の見所は?】

もうこの「来週の見所」が書けないのが哀しい…。ドラマ版の総括や「デスノート2016」については、また後日増刊号で詳しく書きたいと思う。とはいえ実はシルバーウィークで長期の旅行に行くので、更新は月末になってしまうかも…。今これと並行して書いてるけど、どうにも出発までに書き終えられそうもない。すみません。





どうやらこのドラマ版デスノートは視聴率も良かったらしく、最終回も14%超えと、昨今のドラマでは割と優秀な成績だった模様。放送前からバッシングが酷かったし、毎週書いてきたようにダメな点も沢山あったけど、それでも視聴者を夢中にさせる魅力は確かにあったと感じている。初回放送前に書いた、この週刊デスノーザーを始めるきっかけになった『凡人の月はむしろ良改変!「デスノート」ファンが主張するドラマ版に期待したい4つのポイント』という記事。「堕ちていく夜神月がポイントではないか」「原作の1部と2部の再構成ではないか」「窪田くんの演技が見所ではないか」「デスノートというコンテンツがまた盛り上がるのではないか」。終わってみればその全てが“正解”のようで、私としては大いに満足している。

週刊デスノーザー、いかがだったでしょうか。毎回くどいくらいに語って突っ込んでを繰り返していたけれど、おかげさまで沢山の方に読んでいただけて、嬉しかったです。本当はデスノートファンとして毎週もっと怒り散らすパターンすら危惧していたけど、そんなことは全くなかった。本当に楽しい3ヶ月間でした。重ね重ね、読んでいただいた方々、ありがとうございました。

ではまた後日、増刊号で。


【今週のスコア】
91点


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【週刊デスノーザー各話リンク】
目次(総括)創刊号1話2話3話4話5話6話7話8話9話10話11話(最終回)


映画『デスノート 2016』(仮)特別映像



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