こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。
「動画配信の黒船」こと「Netflix」(ネットフリックス)がついに日本でもサービスを開始。私のTwitterのフォロワー界隈では「アベンジャーズ」シリーズことMCU作品「デアデビル」の配信開始に大いに沸いているけども、おそらく世間的には新作「テラスハウス」の方が注目度が高いのだろう。そんな「テラスハウス」と有料動画配信のモヤモヤとカラクリのお話。
米動画配信大手ネットフリックスは1日夜、日本でのサービス開始を予定より1日前倒しして、インターネット上で申し込みの受け付けを始めた。サービス開始にあわせて来日したリード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)は1日、東京・六本木で開いたイベントで「7年でブロードバンドのある世帯の3分の1程度の普及を目指したい」と述べ、多数の会員獲得に自信を見せた。
ヘイスティングスCEOは、1年目の目標として、「まだまだ知名度が低く、1か月無料のトライアルを試してもらうことが重要になる」と話した。ネットフリックスでは、フジテレビジョンが制作する2番組や、芥川賞を受賞したお笑い芸人の又吉直樹さんの小説「火花」を映像化したドラマを独占配信する。将来は、国内で独占配信する作品の半分ほどを日本のものにする計画だ。
・ネットフリックス、1日前倒し国内サービス開始
日本での動画配信サービスは近年かなり盛り上がってきたし、最近では映画やドラマと連動したスピンオフや番外編をその配信サービスのみで公開するパターンも多い。撒き餌として人気度や注目度の高いコンテンツが選ばれ、更にスマホの普及も手伝い、huluやdTVなどを筆頭に日に日に市民権を得ている。私の嫁さんも趣味の韓ドラを浴びるように観るために加入しているし、たまにラインナップを見せてもらうと映画もドラマもアニメも結構豊富にそろっている。
そんな中Netflix(通称「ネトフリ」)で新作の配信が開始されたのが「テラスハウス」。概要は多くの方がご存じだろうけど、一応のおさらい。「テラスハウス」は2012年からフジテレビ系列で放送されていたリアリティバラエティで、一つ屋根の下で暮らす複数の男女の共同生活を追いかける番組。2015年には映画版「テラスハウス クロージング・ドア」が公開され、興行収入は約13億を記録した。そしてこの2015年の9月2日に、新メンバーを募集して迎えた新作「TERRACE HOUSE BOYS & GIRLS IN THE CITY」が配信された、という運びだ。
私の中でそもそもから疑問としてあったのが、「テラスハウスを観る層と有料動画配信を利用する層って、あまり被っていないのでは…?」というもの。以前読んだ『ドラマをまったく観ずに劇場版「テラスハウス」を観に行ってみた』というレポ漫画にもあったが、やはり普段から映画を観るような層とは被っていないだろうし、でも有料動画配信サービスは比較的“普段から映画を観るような層”の方が相性が良いのでは?…と思えてならない。とはいえ前述のように動画配信サービスもかなり一般化してきたので、私の勝手なイメージによるものなのかもしれない。
余談だが、映画「テラスハウス クロージング・ドア」の興行収入約13億は、数字単体で見ると大ヒットとは言い難いものの、製作費から考えると十分に御の字だろう。後の5月にバージョン違いの「禁断の副音声版」が上映されたことからもそれは伺える。
そんな中、Twitterで話題になっていたのが「テラスハウスの有料配信を嘆く人たち」だ。実際に「テラスハウス 有料」で検索してみると、結構な地獄絵図が展開されている。
なんたることだ…。この人たちはYouTubeを何だと思っているんだ…。ネットが発達してどんなコンテンツも無料で手に入るのが当たり前と思う人が多い、というのは昨今よく叫ばれるが、これもそのひとつの結果なのかもしれない。映画で完結編という形で劇場公開してヒットを飛ばしたので、動画配信にもついてきてくれるだろう、という算段だろうか。こんなことを易々と呟いてしまうようなネットリテラシーの人たちが有料配信サービスなんかに加入するのだろうか。ちょっと見通しが甘くはないか…。
とはいえ更に調べてみると、フジテレビの公式サイトにはちゃんと答えが書いてあった。
『テラスハウス』は、2012年10月12日から2014年9月29日にフジテレビ系列で放送されていた、シェアハウスで同居する男女6人の青春模様を記録したリアリティーショー。台本はなく、彼らのキラキラした生活を描いた今までにないテイストが、10~20代の若者を中心に多くの支持を得ました。
また、地上波放送だけでなく、放送しきれなかったサブエピソードなどのオリジナル映像を配信した番組公式YouTube動画が、累計2億8,000万回と高い再生数を記録。さらに、この2月には映画「テラスハウス クロージング・ドア」も公開され、この種の映画では異例の大ヒットとなるなど、根強い人気を誇っています。
(中略)
いずれも、Netflixにて独占で先行配信した後、地上波での放送に加え、動画・コミック配信サービス「FOD・フジテレビオンデマンド」において配信していく予定です。
・フジテレビと米・Netflix(ネットフリックス)がオリジナルコンテンツの制作で合意
まずもって「YouTubeで見たい」という声が散見されるのは、以前に番組公式YouTube動画が配信されたという背景があるから。そして、Netflixにて独占先行配信した後は地上波での放送も行われ、最後にフジテレビの自社コンテンツであるフジテレビオンデマンドが受け皿として待ち構えている。見事な三段構えだ。
つまり、おそらくこういうことなのだ。
元からの「テラスハウス」ファンから、有料でも観たいコアなファンはNetflixに引き込む。おそらく大部分であろう「有料ならちょっと…」な層はその嘆きの声が宣伝材料となり、後の地上波放送で吸収。Netflixやテレビ放映からは新規ファンも獲得できるし、最後にフジテレビオンデマンドでいつでも観られる体制を作っておく。反響によっては、またもや番組公式YouTube動画を配信したり映画第二弾を企画すれば良い。すごい、見事にフジテレビとNetflixがwin‐winの関係として成立している。
ということなので、テラスハウスファンの方はどうか安心していただきたい。必ずしも有料でなければ観られない、という訳ではないようだ。「有料で観れないから諦めた」とテラスハウスそのものから去っていく層もいるとは思うが、おそらく全体からすれば微々たるものであり、Netflixの知名度アップのためにテラスハウスという看板が担がれたのは間違いないだろう。実際にテラスハウス目当てでNetflixに登録する人がいればいるほど、三段構えの旨味が増していく構図だ。
以上、色々と考えてみたが、このケースは私がぼんやりと感じていた「テラスハウスを観る層と有料動画配信を利用する層って、あまり被っていないのでは…?」という懸念が、そもそも少し的外れだった、ということだろう。
映画を含め昨今の映像業界においては、ファンにストレートに好まれるものをただ真っ直ぐに提供する時代が完全に終わったのかもしれない。
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